紅一点は事務所1の騎士様！？(6) (ページ14)

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『で、悩み事は解決できたの？』
「うん、答えは出たよ」

SHOCKの公演終わり、歌舞伎の稽古のために事務所に向かう車の中で、隣の奏は小声で聞いてきた。後ろをみれば椿くんは寝ていてそれを見た私は安心しながら小声で話し始めた。

メンバーから想いを伝えられて、どうすればいいのかずっと悩んでた。
恋愛感情に乏しい私には、好きの先には付き合うか付き合わないかの選択肢しかないと思ってたから。

「メンバーはみんな大好き、それは多分一生変わらない。
だけどそこに恋愛感情があるのかと聞かれたら、多分ないんだと思う」
『ふーん...？』
「...ってよりは、あってもなくすべきだと私は思うんだよね」
『それは、相手がメンバーだから？』

その言葉に、否定も肯定もできない私を見てごめんと笑う奏。

「相手が、ってよりは私自身がアイドルだから、って言えればいいんだけどね」

アイドルだから、恋愛をしない。
そういえるほど、自分に自信がないことも事実で。
自分のポリシーなんかじゃなくて、相手のファンに何かを言われたり、相手が何かを言われたりすることが何よりも怖いんだ。

『恋愛するしないはAの自由だから俺は何も言わないよ。
その代わり、苦しくなったらいつでも話してね？』
「...ありがと、奏は優しいね」
『当たり前、俺もAが好きだからね』

耳元でそう呟くと、にやりと笑う奏に呆れてため息をつけば、ひど！と怒られる。

『もし恋愛したくなったら俺も候補に入れてよ？』
「奏本気なのかわかんない」
『この状況で冗談言わなくない？』
「奏小悪魔だから」
『はぁー？Aに言われたくないんですけどー？』

そんな言い合いをしていればあっという間に事務所に着いて。まずは稽古、と気合いを入れ直した。