紅一点は事務所1の騎士様！？(6) (ページ13)

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「健くん！」
『よ、元気だった？』

あれから数日がすぎて、3月に入った頃だった。
SHOCKの見学に来た健くんが楽屋まで来てくれて、私の顔をみるなりなぜか安心した顔をしていた。

「健くんって舞台見に行ったりするんですね」
『一緒に観に行っただろ前に』
「あ、たしかに」

そういえば阿部くんと舘さんの舞台を一緒に観に行ったな、なんて思い出していれば、口を開いたのは健くんだった。

『A、お前のことはちゃんと見てるから』
「健くん...？」
『もしかしたらお前のこと不安にさせるかもしれないけど、俺はちゃんとお前の先輩だから』

わかったか？そう言われてなんのことかわからないまま頷けば、じゃあ帰るわとその場から一瞬でいなくなった健くん。その謎が解けたのは、数日後の出来事だった。

「え...？」

楽屋に戻ってスマホを開けば、ネットニュースのほとんどが"V6 解散発表"で埋め尽くされていて。あの日、健くんが言っていた言葉の意味をやっと理解する。

ずるいな、わざわざそのために来るなんて。

大好きで、いつかあんなグループになりたいって漠然と思ってた。
でも、それと同時にらしいな、とすら思ってしまうのはきっと私だけじゃなくて。
悲しみで空いた穴は大きかったけど、それ以上に最後の時間までファンとの時間を大切にする先輩方が誰よりもカッコよかった。

「...メンバーが、大切なことには変わりないんだよね」

そう思ったとき、私の脳内にかかってた靄が晴れた気がした。