紅一点は事務所1の騎士様！？(6) (ページ11)

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-R.side- ページ11

「これ、」
『バングル、蓮あんまりアクセしてるイメージないから』

箱を開けて出てきたのはシルバーのシンプルなバングルで。俺が大切に来ているブランドの物だった。

『ありがと、めっちゃ嬉しい！』
「よかった、去年のお願い叶えられなかったからその分も込みで」
『...覚えてたんだ、』

去年のお願い、Aの誕生日に一緒にお酒を呑みたい。
叶えることは出来なかったけど、Aが覚えていてくれたことが何よりも嬉しくて。

『蓮お酒強いでしょ？いま一人で少しずつ自分の限界を調べてるんだよね』
「真面目かよ」
『大事でしょ、せっかく呑むのに潰れたくないし』

今のところ飲めるのはね～と楽しそうに話すAと空いていた距離を詰めれば、隣で不思議そうな顔をしていて。何もつけてないはずなのにすぐにわかるAの匂いに思わず手を伸ばした。

「ちょっとだけ、充電」

ぎゅっと抱き締めれば抵抗されるかと思ったけど、むしろ後ろに回ってきた腕に更に力が入る。

『...蓮ってさ、意外と私のこと好きだよね』

腕の中で楽しそうに笑うAの言葉にきっとこれは動揺する俺を見たいんだなってすぐわかる。

「...好きだよ、今更？」
『へ、』

目が合うようにしてそう伝えれば、一気に赤くなる顔に今度は俺が笑って。その反応をみて、拗ねたような顔をするAの頬をつつけば、距離をとるように肩をぐっと押される。

「ごめん、意地悪した」
『蓮ってそういうところあるよね』
「そういうところって？」
『まいちゃんにもだけど年下だからってからかってるでしょ』

最初にからかってきたのはそっちだけどな、と思いながらもふてくされる顔が可愛くて、空いた隙間を埋めるようにもう一度抱き締める。

「好き、一人の女性として」
『蓮、』
「でも、Aはそれ以上を言われても困るだろうからまだ言わない」

こんなタイミングで言うつもりは全くなかったけど。
Aのことが好きか聞かれて、嘘をつく理由がなかった。

「...戻るか、」
『...うん、』

俯いた顔を上げて目が合えば、さっきよりも赤くなった顔に思わず吸い寄せられそうになる。

「...俺先戻るから、治まったら戻ってきな」

わかった、と返事をするAを見ながら、受け取ったプレゼントを手にその場を後にした。