紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ10)

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-R.side- ページ10

『めめ？何してるの？』

楽屋入んないの？と聞かれ、しっ！と指を当てれば不思議そうな顔をするラウール。

「...なんか、あったっぽい」
『そういえば、マネージャーがバタバタ走り回ってたかも』

ならみんなに聞かないと、と楽屋に入ろうとするラウールを再び止めようとするも、一歩遅くて。

『おはようございまーす！...ってAちゃん！？
しょっぴー何したの！？』
「は！？翔太くん！？」

びっくりして楽屋に入れば泣いて目を真っ赤にしているAと向い合わせでしゃがんでいる翔太くんがいて。翔太くんからAを守ろうと抱き締めるラウールに翔太くんがガンを飛ばしてキレていた。

「2人とも怪我は？」
『私はなんとも、』
『俺も平気、ただリハの時間は削れるだろうから全員気を緩めないように』

全員が集まってから改めて楽屋で説明された事件に驚いて2人の顔を見れば、大丈夫だよと笑っていて。少しだけぎこちなく見えたのは俺だけなのか、この後のリハーサルについての話し合いに進んでいった。

「岩本くん、」
『ん？目黒どうした？』
「...名誉の勲章、ってやつですよね」

それちゃんと漢字になってる？と笑われてもちろんと返せば可愛い笑顔を向けてくれる岩本くん。テーピングをしている隣に座れば、名前を呼ばれた。

『...あいつさ、たぶん言わないだけでだいぶキテると思う』
「...はい、」

離れたところから聞こえる佐久間くんの声とそれに笑うラウールとAの呆れたツッコミは、ここ数週間のAがどう過ごしてたかなんて何も見えない。でも、見えないからって見なくていいわけじゃないから。

「もっと、大切にされてるってわかってほしいんですけどね」

そう呟けば、隣から吹き出す音がして。びっくりして顔を見れば

『それ、本人に言ってきな。
アイツ翔太に言われて泣いてたから』
「え、それで泣いてたんすか」

ほんとアイツ、と笑う岩本くんにつられて笑っていればバタバタと走ってくる音がして。その足音で俺たちは誰が来たかわかるから、2人で唇に指を当てて、目を合わせた。

可愛いところあるよな、なんて会話は俺たちだけの秘密だから。