紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ40)

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-D.side- ページ40

ありがたいことに番宣や雑誌の取材で忙しい日々を送っていた11月。
テレビで［今年も残すところ1ヶ月！］なんて特集が組まれている傍らで最近俺が気になっていることはただ一つ。

「ねえねえAちゃん、佐久間さんに隠してることない？」
『...別に、ないけど』

特典欲しさに映画に誘えば、話し半分にOKしてくれたA。最近様子が変だな、とは思ってたけどこんなに重症だとは。約束はちゃんと覚えてたみたいだけど、待ち合わせ場所に来たAは何だか上の空だった。

『...ごめん、仕事に支障出てた？』
「んーん、大丈夫だよ」

ならよかった、と暗に認めていることはさておいて。仕事に支障が出るようなこと、ってことは

『...誰だ、？』

何か言った？と聞き返してくるAに笑ってごまかせば、不思議そうな顔をしながらまたすぐに上の空になるAに重症だな、と苦笑いしてしまう。

『まあ佐久間さんはAの味方だからさ？』

1人で抱えてないで言いなさいよ、と頭を撫でれば「はーい佐久間ママ」と笑っていた。

『なんかあっただろ、言わなかったけど』
「やっぱりー？」

Aを家まで送った帰り道、ちょっとだけ歩きたくなってなんとなく電話をかけたのは照で。Aとデートしてきたーとふざけて言えば、そういえばさと話を振ってきたのは照の方だった。

『最近、Aボーッとしてんだよな』
「今日もなーんか上の空だったんだよねー」

俺が思うにさ、と聞こえる照の声に耳を傾ければ、思っていたことと同じことを言われて思わず大きな声で笑ってしまった。

「でもさ、アイツ何もないって言い張るからさー」
『そりゃ佐久間には相談しないだろ』
「うぉい！なんだと！」
『佐久間ってかアイツは誰にも言わないだろ』

メンバーと喧嘩してる、なんて絶対言わないよAは。そう言い切る照が清々しくて、こいつがうちのリーダーで良かったな、なんて思っていればてかいまどこ？と声が聞こえて。

「今？これどこだろ、適当に歩いてたからわかんねえや」
『...位置情報ちょうだい』

迎えに行く、と鍵を持つ音が聞こえてまた大きな声で笑ってしまう。
俺、一応君より年上で先輩なんだよ？なんて言わないけど。

「佐久間さんがパフェ奢ってあげましょう」
『ドリンクバー付きでね』

近くのコンビニで待ってて。そう言って切れた電話の画面を見ながら頬が緩んだ。