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「翔太くん、着いたよ」
まだ寝ている翔太くんを起こし、車内にいたみんなとお別れをして離れない翔太くんとめぐとそのまま歩き始めた。初めてくる翔太くんの家に来慣れているのか迷うことなく歩くめぐに黙ってついていった。
「鍵どこかわかる？」
『多分胸ポケット』
はい、と取った鍵を渡されて開ければ、なんとも殺風景な風景が広がった。
『しょっぴー着いたよ、着替えれる？』
『めぐろぉ？』
『目黒だよ、ほらベッド着いたよ』
寝室まで運ぶめぐを横目に冷蔵庫を開けてみれば、案の定水しか入っていなくて頭を抱えてしまう。めぐは翔太くんの着替えを手伝っているだろうし、さっき通り道にあったコンビニに行ってこようかな、と思ったときだった。
『何してんの？』
「冷蔵庫何もないからコンビニ行こうかなって」
『俺行くからいいよ』
危ないからしょっぴーと待ってて、と言われて靴を履くめぐに、なんかおやついる？となぜか笑われる。いらない！と言い返せば笑いながら玄関を後にした。
「翔太くん、入るよー」
一応ノックはしてみたものの、等の本人は寝息をたててすやすや眠っていて。おでこに当てた手も全然熱くならないことにほっとした。
「...かわい、」
寝顔はまるで赤ちゃん、なんて言ったら怒られるだろうけど。子どものように寝る姿に思わず頬がにやけてしまう。いつもは困らせて心配させてしまう側な私に甘える翔太くんは、レア中のレアなわけで。
「普段も甘えてくれればいいのになー」
なんて、8つも下にできるわけないか。
そんなことを考えながら立ち上がった瞬間だった。
「ぎゃっ！？」
『...んな色気ない声出すなよ、』
気づいたときには、目の前に翔太くんの顔が広がっていて。まるで、私が押し倒しているかのような、
『...はっ、顔真っ赤じゃん』
「そりゃ、こんな近かったら！」
腕引っ張ってきたのはそっちでしょ！と文句を言いながら離れようとすれば、さっきまで笑っていた顔が急に真剣な顔になって。後頭部に手が回ったとわかった瞬間、無意識に目を閉じていた。
『...っ、バーカ本気にすんな』
その言葉と同時に飛んできたデコピンは見事にクリーンヒットして、私はベッド脇に転がって悶えてしまう。
『お前みたいなガキにすっかよ、』
トイレいってくる、そう言って立ち上がった翔太くんの顔が見れなくて。
代わりに布団にくるまる羽目になった。
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作者名：nio | 作成日時：2023年5月27日 20時
