紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ37)

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19. 2019.11.×× ページ37

「おはようございます...って」
『...はよ、』

迎えの車に乗り込み挨拶をすれば、いつもとは少し様子が違う翔太くん。手招きをされて隣に座れば、そのまま私の肩で寝についた。

『あ～、だりぃ...』
「まだ撮影まで時間あるし寝てた方がいいよ」

おでこに手を触れれば車内で触れたときより熱くなっていて。
まずいな、とスタジオ中の誰もが思ってた。

『まじでごめん、こんな大事な日に...』

いつもならもっと大声で寝てな！というメンバーも今日ばかりはそうはいっていられなくて。なぜなら、今日はデビューシングルであるD.D.のMV撮影日だから。

「薬のんだ？」
『MVなのに動かないとか洒落になんない...』
「飲まなきゃ熱下がんないんだから」

ほら、とポーチから出した薬とペットボトルの水を開ければ反抗する気力もないのかそのまま薬を飲む翔太くん。気だるげに俯く翔太くんにブランケットを渡せば、後で起こして...と再び眠りについた。

『Aはそのまま隣にいてあげて』

撮影の順番ずらしてもらうように伝えておくから。
そう言ってくれた舘さんに頷き、私はそのまま翔太くんの隣にいることになった。

『A、変わるよー』
「あ、佐久間くん」

メイクいっといで？と言われて立ち上がろうとした瞬間、急に腕を掴まれて。びっくりして翔太くんの顔をみれば、まだ眠たげな顔で目を開いた。

『...A、いくの？』
「あ、うん。
メイクしなきゃだし」
『...俺も行っていい？』

寝てなくて平気？と聞けばコクりと頷く姿がなんだか幼く見えて、これ持っていきな～と翔太くんの水を受け取りそのまま手を引いた。

［今日の撮影は以上になります！］

お疲れ様です！とスタッフさんにお礼を言って控え室に戻って急いで別室で着替えをする。また控え室に戻れば、なんとか着替えて寝かけている翔太くんがいた。

「翔太くん、車まで動ける？」
『...ん、』

運ぶから荷物だけ持って、と言ってくれためぐと一緒に車までつれていけば、そのまま車で眠り始める翔太くん。繋いだ手は離れる気配がなくて、そのまま隣に座ることにした。

『翔太、だいぶ悪そうだな』
『最初に下ろす？』
「熱は下がってるから寝かせてあげた方がいいかも」

じゃあ近い人から下ろすな、とマネージャーが車を走らせた。