紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ33)

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『で、目黒とふっかには？言ったわけ？』
「...めぐには言った、けど」

八つ当たりをした自覚があるめぐや翔太くんには言えても、ふっかにはなぜか言えなくて。意識がなかった数時間の間、片時も離れずにいてくれたふっかに心配させてしまったのは明らかなのに、

「ありがとう、って言うのは違う気がして」
『お前が刺されたのはお前やふっかのせいじゃないし、甘やかすのはアイツが勝手にやってることなんだからお前が引け目に思うのは違うだろ』

まあケガがなくてもアイツは普段からお前らを甘やかしすぎだけどな？
そう呆れる翔太くんに否定できずに苦笑いしていれば前から聞き覚えの声がして。

『あ、2人ともいた！』
「...ふっか、」
『そろそろ打ち合わせ始めるよ、って』

どうしたー？と顔を覗き込んでくるふっかに思わず反射でなんでもない！と言えば隣の翔太くんに頭をどつかれる。普通に痛いんですが。

『ふっか、Aが言いたいことあるらしい』
「ちょ！？」
『俺先戻ってるわ～』

時間ないんだから早くしろよ、と急かす翔太くんに伸ばそうとした腕はふっかに掴まれた。

『A、何かあった？』

心配そうに見てくるふっかになんでもない、というのは違う気がして。

「あのね、私ふっかに言いたいことがあって...
たくさん、心配してくれてありがとう、」
『...へ？』

拍子抜けして口を開けるふっかに勝手に気まずくなっていれば、ごめんと謝られて。今度は私が驚けば

『ラウに怒られちゃった、心配のしすぎはAの負担になるよって』
「でも、心配かけるようなことがあったのは事実だし」
『...だとしてもさ、Aのストレスになるのは違うじゃん』

ごめんな、と謝るふっかの顔は寂しそうで。まいちゃんが伝えてくれたのは私が思ってることそのものなのに、なぜかうまく伝わらなくて。いこっか、と歩こうとするふっかの腕を今度は私が掴んだ。

「...嬉しかった、目覚めたときにふっかがいてくれて」
『A、』
「心配してくれるのが当たり前じゃないってわかってる。
みんなの優しさが普通だと思うようになってた」

でも、それは当たり前じゃない。

「私は、ふっかのその優しさにたくさん支えられてる。
だから、辛そうな顔で心配されると悲しくなる」

うまく伝わらなくて、自分でも何が言いたいのかわからなくなってくる。
周りを見て誰もいないことを確認して、私はふっかに抱きついた。