紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ30)

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何か言おうとしてくるメンバーを無視してなんとか終えた撮影から数日。
来週にはデビュー日の発表が控えているのに何もやる気が起きなくて、スマホの電源を切ってぼーっとテレビを眺めていたときだった。

［続いてのニュースです。今月××日、渋谷区神宮前で10代の女性が刃物を持った人物に襲われた事件について、警察は今日未明10代の男性を殺人未遂と銃刀法違反の容疑で逮捕しました─］
「...逮捕、」

事件現場として映された場所をみて思わず傷を追った右腕を掴む。ニュースでは私のことなんて取り上げられてなくて、一つの事件として流れていたことにひどく安心した。

「...スマホ、」

ベッドに戻ってスマホの電源をいれた瞬間、すごい量の通知が来ていて。どこから返せばいいか戸惑っていれば、家のインターホンが鳴った。

「...ごめんね、スマホの電源切ってて」
『ニュース観てくれてたなら良かったよ』

むしろ朝から押しかけてごめんね、と出した紅茶に口をつける舘さん。朝からコーヒーもいいけどたまには紅茶もいいね、と笑う姿に少しだけ肩の力が抜けた気がした。

『...A、ちょっといい？』

手招きされてソファの隣に座ればそのまま抱き締められて、顎を肩に乗せられる。舘さん、と声をかければいまはじっとしてて？と言われてしまって動けなくなった。

『...良かった、無事で』
「...迷惑かけて、ごめんなさい」
『迷惑？』

何の話？と笑う舘さんに顔を見れば優しく笑っていて。

『心配してくれてありがとう、とかの方が嬉しいかな』
「でも、」
『別に、Aだから心配してるんじゃないんだよ俺たちは』

Aはもし俺が襲われてみんなに迷惑かけたくないって離れていったらどう思う？
そう聞かれて出てきた答えは当たり前に

「寂しい、し舘さんのせいじゃないのにって、」
『俺たちもそう思ってるんだよ』

少しはわかってくれた？そう言われたら頷くことしか出来なくて。
今日予定は？と聞かれないと伝えれば、少し寝よっかとそのまま背中を擦られた。

「だてさん、」
『ん？』
「しょうたくん、ありがとう、いわないと...」
『うん、目黒にもふっかにも、他のみんなにもだね』

今は寝な。そう言われて私の瞼はそのまま上がることなく沈んだ。