紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ22)

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『A、明日暇？』
「明日？」

ある日のYouTube撮影終わり、そう聞いてきたのはふっかで。買い物に行きたいな、なんてなんとなくの予定しか立ててなかった私はそのままをふっかに伝える。それを聞いたふっかは恥ずかしそうにしながら、妹のプレゼント選び付き合ってくんない？と小声で伝えてきた。

『家まで迎えに行くから』
「先に済ませたい買い物あるし駅でいいよ」
『え、いいよ俺も付き合うから』
「...ごめん、それは遠慮して」

ここ数ヵ月の体重の変化であわなくなった下着を新調したい、なんて言えるはずもなく。なんで！とごねるふっかを宥めて駅での待ち合わせを決めた。

［ありがとうございました、またお待ちしております］

いつもお世話になっている店員さんから紙袋を受け取り店を出れば、ふっかとの待ち合わせ時間まで30分ほどあって。

「買い物終わったよ、っと」

終わったら連絡して～と言われていた待ち合わせ相手に連絡をしながら近くのコーヒー屋さんで何か買おうかな、と歩き始めたときだった。

［...あの、Aちゃんですか？］

突然名前を呼ばれて振り返れば、私の顔をみて嬉しそうな顔をする女の子達がいて。

［あの、私たちAちゃんのファンで、］
［さっきもグッズ買いに行ってて、］

あ、ごめんなさいこんなところで、とバタバタする2人に思わず顔が綻んで、気づけば手をとって1本裏の路地へと引っ張った。

「...ごめん、もう少し2人の話聞きたいなって」

時間大丈夫？と聞けばコクコクと頷く2人に思わず色々聞いてしまい、我に返ると恥ずかしくて顔が熱くなっていく。

［Aちゃん...？］
「...あんなに素敵な9人がいるのに、私を選んでくれて本当にありがとう」

そう伝えれば、目の前の2人が泣いていて。その姿が嬉しくて、私まで泣いてしまった。

［私たち、何があってもAちゃんのファンでいますから！］

そう笑ってくれたファンに手を振り見送ろうとした時だった。

「...橘くん、？」

あの日、目に焼き付けたパーカー姿が目の前にいた。
周りは誰も気づいていなくて、まるで私の彼だけの世界で。周りの人たちが陽炎のようにぼやける中、彼の手元はキラリと何かが反射していた。

「2人とも、あぶないっ！」

彼が何かを振りかぶった瞬間、私は反射的に目の前の2人を力いっぱい押し倒していた。