紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ21)

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17. 2019.10.×× ページ21

［A、半カウント遅れてる！］
「はい！」

あっという間に涼しくなって、季節は10月。
個人仕事が一段落したこともあり、デビューに向けての準備に専念できるようになった。

『ゆきちゃん、大丈夫？』
「やばい、もうめっちゃヘトヘト！」
『俺もあかん、腹減った』
「なんか帰り食べて帰ろ、もう帰って作るなんて無理」
『それ昨日も言ってたで』

みんなと違って体力がない私はついていくのがやっとで。やっとの休憩でへたりこむ私の隣には、いつも康二くんがいた。

『肉？魚？』
「ラーメン」

落ちていた体力も気力も、犯人の目星がついたからなのか少しずつ回復してきて。
明らかに足りてなかった食事は、メンバー(主に康二くんと舘さん)のおかげで前のように食べられるようになっていった。

「ねえ康二くん」
『ん？』
「...やっぱなんでもない」
『なんやねん！』

数ヵ月前まで普通だった日常が戻ってくるだけで、こんなに嬉しいなんて。
そんな思いを口にしようとするけれど、なんだか気持ち悪くて飲み込んでしまった。

「ねえ阿部くんもご飯行く？」
『え？俺は？』
『佐久間さんは？』
「今日は家系の気分じゃないから却下で」

別に家系じゃないのも食えるし！と怒る年長2人に追いかけ回されてる私の姿をみて笑うメンバーにますます頬が緩んできて。

そんな日常に、私は完全に油断していた。