紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ20)

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16. 2019.09.×× ページ20

【至急事務所に来てほしい】

午後からの打ち合わせに合わせて準備をしていれば、突然きたのは滝沢くんからの連絡だった。

「失礼します」

事務所の中でも重たい扉をノックすれば、どうぞといつもと違う声色で返事が返ってくる。違和感を覚えながら扉を開ければ、そこには呼び出した張本人である滝沢くんと、

［...突然のお呼び出しすみません］
「...いえ、」

ストーカー事件でお世話になっている警察の方だった。

［今日は、こちらの人物に関してお伺いしたく］

ご確認いただけますか、そう言って渡されたのは1枚の写真だった。

『...誰か、わかるんだな？』
「...はい、」

その写真は、私の家にもきっとあるであろう写真で。あの日、帰ってから何度も確認した顔だった。

「...私の、中学の同級生で

手紙の、犯人だと思います」

映画の舞台挨拶の日、会場に来るには少し珍しい格好の人がいて。その姿がやけに気になって仕方がなかった。視界に入るその人は、まるで私を監視しているような、そんな視線を送ってくる。なんだか嫌な予感がしながら顔をみれば、中学時代に誰よりもお世話になった同級生だった。

「応援にきてくれたのかな、と思えないぐらいにはまとってる空気がいいものではない気がして...」

すみません、説明が上手くなくて。そう謝れば、とんでもないと返されて。

［例の件の捜査上で犯人が辿ったルートの中に、彼がよく通う漫画喫茶がありました］
「漫画喫茶、」
［いま、彼が何をしているかご存じですか？］

その問いに首を横に振る。その反応は予想通りだったのか、彼この漫画喫茶にかなり頻繁に通っていてですね、とさっきまで話していた内容の続きを聞かされた。

［...では、また何かありましたらご連絡します］

お忙しい中ありがとうございました。そう伝えた滝沢くんに倣って頭を下げれば、そのまま警察官は立ち去っていった。

『...A、大丈夫か』
「むしろ、誰に気を付ければいいのかわかって安心しました」

私打ち合わせあるので先行きますね。そう伝えて滝沢くんの元を離れれば、どっと疲れが押し寄せてくる。

「...集中、」

少しだけ残る不安に気づかないフリをして、打ち合わせ場所へと向かった。