紅一点は事務所1の騎士様！？(3) (ページ2)

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『ごめんね、遅くなった』
「ううん、むしろ夜に呼んでごめんなさい」

お邪魔します、と丁寧に挨拶してくれる舘さんに少しだけ肩の力が抜ける。
ソファで待っててもらってお茶をいれれば、そのまま私が話すのを待ってくれた。

「...呼んだのは、この手紙で」
『...これは、いつ渡されたの？』
「帰ってきたら、ポストに入っていて」

そう伝えて封筒を出せば、中身は？と訊かれて首を横に振る。代わりに見てもいい？と確認してくれる舘さんに今度は首を縦に振れば、そのまま封のされていない封筒から手紙を取り出した。

『...A、最近誰かにつけられたりしてない？』
「特には、」
『変なスタッフさんやファンの人に絡まれたりとかは？』
「それも、」

大きくため息をついたと思えば、そのまま1枚だけ出して残りの数枚を封筒にしまわれていく。その1枚を裏にしたまま私の方に差し出してきた舘さんは、いままで見たことがないぐらい怒っていた。

『...A、この写真は見なくていい。
どこかにしまうか捨てるかしよう、その方がいい』

手紙を開いて書かれた文章を見て写真の内容が嫌でも伝わってしまう。それでも見せないように庇ってくれる人が近くにいることに、なぜか嬉しくなってしまった。

「...証拠になるかもしれないし、保管はしておこうかな。
これ、メンバーに言った方がいいかな、？」

【僕はずっと君を観ていたのに、
知らない男たちと生きる道を選んだんだね。
でも本当は僕といたいんだって、我慢してるんだって。
あの日、Aはそういって僕と一夜を過ごしたよね。
もうすぐ君を迎えに行くから、準備して待っていてね。
お守りがわりに、あの日の思い出を送ります。】

まるで私の運命の相手だと言いたいかのような文面に鳥肌が立ってしまう。反射的に肩を丸めて抱き締めれば、その上からよく嗅ぐ香りに包まれる。

『...マネージャーに相談して、警察に行こう』
「でも、」
『何かあってからじゃ遅いから。
お願いだからこれだけは俺の言う通りにしてほしい』
「...わかっ、た」

でもこれだけはお願い。みんなには言わないでほしいの。
そう伝えれば、また大きくため息をついてから『状況次第では俺から伝えるから』と約束させられ、そのまま舘さんはマネージャーに電話をかけた。