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「 A 」
ぐっと、後ろに引っ張られる様な形で、立ち止まる。
間違いなく掴まれている手首に伝わる熱が、誰による物なのか。物凄いスピードで回転する頭で考えて、他に……彼以外に居ないと分かっても、私はこの状況が理解出来なかった。
直ぐ側に落とされた透き通る様な声に、心臓から震えて、視界が揺れる。
引き止められてから名前を呼ばれるまでそんなに間は空いていなかった筈なのに、そのワンシーンが私には何分にも何時間にも感じられた。
「 A、 」
「 … 」
「 …話そ 」
思わず息を呑む。
本当は、それを言わなければならないのは、私の方だった。なのに、大我くんに言わせる迄、私は…結局何も出来なかった。
「 少しでいいから……お願い 」
絞り出された彼の言葉が、まるで縋り付く様な、何処か余裕の無いものに感じて。
ずっと振り向けなかったのに、それに動揺して思わず大我くんの方を向けば、ふっと顔を上げた、金色越しの瞳と視線がぶつかる。
その目の中に、光が見えなくて、ゾッとした。
「 え…?二人って、え? 」
「 どういうこと? 」
困惑している慎太郎くんと音ちゃんが、此方に近付こうとするのをすっと止めたのは、北斗くんで。
「 A 」
「 … 」
「 話しておいで 」
諭す様な彼の声に頷く前に、大我くんに腕を引かれて歩き始める。その手の力は一層強くなっていて、掴まれている手首がギリ、と痛んだ。
「 あ、の 」
「 … 」
「 っ…大我くん 」
「 何 」
「 痛い、から 」
ハッとした表情を浮かべた大我くんは、私の腕を離す。少しだけ赤くなった手首に触れたら、頭上にごめん、と弱々しい呟きが振ってきた。
「 や、大丈夫だけど、 」
「 … 」
「 ……大我くん? 」
「 ねぇ、A 」
「 うん……? 」
目を伏せた彼から放たれた言葉は、私の想像とは全く違っていて。
「 北斗のこと、好きになったんでしょ 」
「 ……、え? 」
ちゃんと向き合わなきゃと思っていたのに、頭が真っ白になってしまった。
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鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です!読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています! (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…! (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳰 | 作成日時:2023年12月17日 15時