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( ……夢？ )
信じられなくて、夢かと思った。何度も瞬きをした。頬を抓りたかったけど、ノートの所為で出来なかった。
何も答えない私を見て、京本くんが不思議そうな顔で首を傾げる。……確かに、動いてる。本物なんだ。今私、京本くんと目が合ってるんだ。
喉の奥から何かが出てきそうなのを必死に堪えて、やっとの思いで声を絞り出した。
『 職員室、に 』
『 ん、分かった 』
京本くんがスタスタと歩き始めるので、慌ててその背中を追い掛ける。お互い無言のまま、私は彼の少し斜め後ろを歩いて、辿り着く職員室。
『 あれ、京本も手伝ってくれたのか。有難う 』
『 いえ、 』
『 助かったよ 』
先生の声に軽く頭を下げ、出ようとしたら、あ、ついでにもう一個いい？って呼び止められる。
『 これ資料室に持ってって欲しい。頼む！ 』
ドサ、と渡されたダンボール。……先生、人遣い荒すぎる。
職員室を出た所でとりあえず京本くんにちゃんとお礼を言おうとしたら、手の中のダンボールをヒョイッと奪われた。
『 え、 』
『 ウチの担任人遣い荒すぎだよな 』
『 あの、京本くん、それは重くないから、 』
『 別にいいよ 』
『 でも、一人で持ってける… 』
『 いいって。それより資料室の場所分かんないから教えて 』
『 あ……うん 』
有無を言わさない、そんなトーンの声に押し負けて、今度は彼の斜め前を歩く。職員室と資料室はそんなに離れていないから、直ぐに辿り着いた。
立て付けの悪いドアを、ギギッと音を立てながら開いて入った中は、暗くて埃っぽい。あ、あの棚が空いてる。そう言って京本くんは奥に行くと、ダンボールをそこに押し込んだ。
窓から差し込んでる微かな光が、彼の後ろ姿を照らし出す。
『 ……あの、京本くん 』
お礼を言うなら、今しかないと思った。帰り際に引き止めたりして、これ以上彼の時間を取る訳にはいかない。
『 ん、なに 』
ゆっくりと振り向いた京本くんと視線が交わって。私はまた、一年前と同じ様に動けなくなる。
『 ……、すき 』
積もりに積もっていた想いは、とっくに私の中の容量を超えてしまっていたようで。
口から、いとも簡単に零れ落ちた。
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鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (
レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です！読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています！ (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…！ (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳰 | 作成日時：2023年12月17日 15時
