33 ページ33
.
ただ、お互い様な所も多いから。私の肩を持った言葉をくれる北斗くんにそう返すと、『 Aならそう言うと思った 』って言われて、なんだか恥ずかしい。
『 でも、ずっとこの状態ならいつか誰かに掻っ攫われたって、仕方ないよね 』
「 へ? 」
『 冗談 』
「 あ、うん、 」
ピシャリと返されて戸惑う私に、電話越し、北斗くんはクツクツと笑った。…絶対私の反応聞いて、ちょっと面白がってるな、この人。
普段と変わらないトーンで、淡々としていた言葉。あー冗談言ってるな、なんて思わないでしょ、普通。
『 でもほんと、どっかでケリつけないと貴女がしんどいだけじゃない 』
「 うん。それは、痛いぐらい分かってる、けど 」
『 だからさ。気になるなら、確かめに行ってみる? 』
「 え? 」
『 京本のバイト先 』
京本の、バイト先。
北斗くんの放った言葉をもう一度自分の頭の中で繰り返して、え、本気で言ってる?って思わず口にしてしまった。
『 うん、本気 』
「 いや、え……あり?そんな偵察みたいな… 」
『 彼女が彼氏のバイト先に行くって全然変な事じゃないけど? 』
「 そうだけど…… 」
それでもやっぱり目的が目的だからか、気が引ける。…というより、怖いのかもしれない。目の前で大我くんと、知らない女の子が、仲良さそうに関わっているのを見る事が。
『 京本カフェのバイトだったよね 』
「 うん…カフェって言ってたけど 」
『 なら、丁度良い 』
「 え? 」
『 いや、すっかり忘れそうになってたけど、元々お願いしたい事があってAに電話したの 』
北斗くんの言葉で自分が大我くんの話ばかりしていたことに今更気づく。
ごめんねって口にしたら、何で謝んのよ、って笑う北斗くんは、やっぱり優しいな。
「 それで、お願いしたい事って? 」
『 次の土日、どっちか空いてる? 』
「 …え? 」
『 俺とAと、慎太郎と
.
804人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です!読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています! (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…! (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鳰 | 作成日時:2023年12月17日 15時