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「 てかさ、同じ大学って知らなかったんだけど! 」
「 委員会終わってからは話してなかったもんね 」
私は知ってたよって言うと、マジ?声掛けてくれれば良かったのに、って田中くん。
……大我くん、私と付き合ってる事、田中くんに言ってないんだね。まぁ私も大学の友達には誰にも言ってないけどさ。彼女が私だってバレるの嫌?隠してる?なんて、思っちゃうよ。
「 え、てかきょもと相田ちゃんって同じクラスだったべ?覚えてる? 」
「 …うん、 」
田中くんの言葉で彼に視線を移してみれば、此方の会話に興味無さそうに、少し距離を置いて携帯を弄っている大我くん。
ここまで一度も、彼の目が私を映すことはなくて。ねぇきょも!って田中くんの呼び掛けにも、まぁね、って淡々と顔を上げずに答える。
「 ありゃ、そんなに仲良くなかった?まぁきょもってそんなに女子と関わり持ってなかったしね 」
あのね、私達、付き合ってるんだよ。なんて言える訳もなく、田中くんの言葉に私は苦笑いしか出来なかった。
まだ同じ気持ちかもって、浮かれてた。やっぱり自惚れだったのかな。
「 あ、そーだ。また話したいし、連絡先交換しねぇ? 」
「 あぁ、 」
良いよ。そう言おうとした時、顔を上げた大我くんが田中くんを後ろから引っ張った。
「 樹、もう良いでしょ。行くよ 」
「 え、待ってきょも、まだ交換… 」
「 俺ら次のコマの講義室遠いんだから 」
「 ちょ、痛い痛い、きょも! 」
ズルズルと引き摺られて行く田中くん。相田ちゃん、またどっかで!って叫んで大きく手を振る彼に、とりあえず手を振り返した。
……あんなに近くに居たのに、結局一回も目合わなかったな。ぼんやりそう考えたら、不意に目の奥が熱くなって、慌ててぎゅっと力を入れて瞑る。
最近なんだか、良くないな。涙腺が緩んでる気がする。
「 相田さん? 」
固まったまま動けないでいると、耳を掠めたのは、低くて聞き心地の良い声。
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鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です!読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています! (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…! (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳰 | 作成日時:2023年12月17日 15時