１５ ページ15
.
「 ほんと、ごめんね。色々と 」
「 其処は有難うの方が、俺は嬉しい 」
「 ……有難う 」
満足そうな表情を浮かべた彼を見て、あぁ本当に、優しい人だな、って。
今日の飲み会はかなり想定外の出来事で。災難ではあったけど、松村くんが居てくれたから、そんなに悪い思い出にならずに済んだなと思う。ある意味、運が良かったな。
じゃあ、帰るね。そう言って手を振ったら、相田さん、と呼び止められて。
「 …あのさ、俺も 」
「 うん？ 」
「 京本と、話した方が良いと思う 」
「 あぁ……うん。やっぱり、そうだよね 」
「 いや、ごめん急に。ただちょっと、思う所があって 」
言おうか迷ったんだけど、さ。
そう呟いた松村くんは、ポケットから取り出したスマホを少し操作して、ゆっくりと私に差し出した。何だろう、そっと受け取って画面を覗き込む。
「 相田さんが彼女だって聞いたの、最近って誤魔化したけど。本当は、数時間前、飲み会中だった 」
「 え、 」
光るディスプレイに映るのは、……大我くんとのトーク画面だった。
心臓が、酷く、大きく音を立てた。
ねぇ
北斗の前に座ったの俺の彼女だから
変な輩に絡まれない様に警戒してて
あと出来れば飲ませないで
「 ……これ、って 」
「 連絡先お互い追加してなかったけど、これ言う為だけに追加して俺に連絡して来たからね 」
「 ……大我くんが 」
「 だから、少なくとも、京本はまだ終わってるとは思ってないんじゃない？ 」
松村くんと別れて家に入った後、どうしようもなく、大我くんの声が聞きたくなってしまった。
二次会に行ってるって分かってて、出ないって分かってて、それでも掛けてしまった電話。残った履歴を見て、大我くんは何を思うんだろう。私達、まだ同じ気持ちかな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 804人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (
レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です！読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています！ (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…！ (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳰 | 作成日時：2023年12月17日 15時
