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結局、松村くんにちゃんとした話をする前にナナ先輩の一声が掛かって、飲み会はお開きになる事に。先輩達は二次会をするらしいが私は勿論、行かない。
松村くんと話しながら、ゾロゾロと流れに乗って外に出て、おそらく慎太郎と呼ばれていた人であろうガタイの良い男の子に支えられた音ちゃんに小走りで近付く。
「 音ちゃん、 」
「 あ!もしかして相田さんですか? 」
「 はい、! 」
「 初めまして、森本慎太郎って言います 」
「 相田Aです、初めまして 」
音とは高校の時から仲良くて、って丁寧に自己紹介してくれた彼は、チャラそうな見た目から想像されるよりもずっと礼儀の正しい人だった。
「 止めたんですけど…ナナ先輩に煽られてちょっと飲み過ぎちゃったみたいで 」
「 あぁ……そうなんですね 」
「 んん、あれぇ、Aだ〜 」
やほぉ〜って手を振る音ちゃん。
フワフワしてる所もめちゃくちゃ可愛いけど、この子、飲ませ過ぎたら駄目なタイプだな。次なんてそもそも無いようにしたいけど、もし同じ事が起きたら、もっと気を配っとかないと。
「 音ちゃん、帰ろう。歩くの無理だろうから、タクシー呼ぶよ 」
「 あ、俺が送りますよ!音の家知ってるし 」
「 え。本当ですか? 」
私だけで音ちゃん運べるか心配だから、実際そうしてもらえると有り難いのは有り難い。でも、本当に男の人に送らせて大丈夫かな。森本くんは多分、根っからの良い人なんだろうけど……。
なんとなく「 お願いします 」って言い切れずに居ると、後ろから声がして。
「 慎太郎なら大丈夫 」
「 ま、つむらくん 」
「 保証する 」
「 あれ?北斗って相田さんと仲良かったの? 」
「 ……仲良くなった、っていうのが正解 」
「 ほぉ〜 」
北斗って女子と仲良くなれるんだ!って感心した様に言う森本くんに、俺の事何だと思ってんの、って松村くん。
あ、笑ってる。それも自然な方で。本当に、仲良いんだ。
「 この時間なのに元気過ぎだろ 」
「 そ??やっぱ酒入ってるからかな〜 」
「 相田さんも五月蝿いって思ったでしょ 」
「 え、いや全然、 」
むしろ、もっと声大きくてもいいぐらい。
少し離れた所から聞こえてくる「 大我くんも二次会行くよね? 」なんて誰かの甘ったるい声を、掻き消してくれるから。
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鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です!読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています! (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…! (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳰 | 作成日時:2023年12月17日 15時