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「 ……あー、そういう事 」
「 え? 」
「 いや、なんでもない 」
続き話して、って松村くんの言葉にコクリと頷いて口を開こうとした時、ドスドスと近付いてきたのは知らない男の人達。
「 よ!北斗、その子知り合い? 」
「 あれじゃね、ナナが呼んだ音ちゃんの友達 」
「 可愛い子じゃ〜ん、名前何て言うの? 」
「 てか全然飲んでなくない?何か頼む? 」
「 ……え、っと 」
「 ちょっと先輩、落ち着いて下さい 」
困ってますから。そう言った松村くんが、少しだけ笑う。学部の先輩とかかな。北斗、って名前で呼ばれてたし、仲良さそう。
「 それにほら、彼女もちゃんと飲んでますよ 」
そう言って松村くんが指差したのはさっき彼が飲み干したばかりのジョッキ。え、と思わず隣を見ると多分、話し合わせろ、って目配せ。
……私が飲めない、というか、飲まないようにしてるってちゃんと気づいてくれてたのかな。
「 あの、元々、酔ってるのがあまり顔に出ないタイプで…… 」
「 あ〜そういう事ね〜 」
「 ま、俺らの奢りだしさ、好きに飲んでってよ! 」
「 てか連絡先聞いていい? 」
「 えっ、と 」
どう断ろう、と頭を巡らせていると、あ、って大きめの松村くんの声。
「 先輩達が頼んだお酒、向こうに届いたみたいですよ 」
「 あ、マジ? 」
「 取り行こうぜ 」
「 戻るかぁ 」
「 音ちゃんの隣ナナと慎太郎が占拠してるから面白くないんだよな〜 」
飲み過ぎには気を付けて下さい、って松村くんの言葉に先輩達は、分かってる分かってる!って声を上げて戻って行く。
「 ……有難う 」
「 何が? 」
「 あーいうの、一人じゃ上手く対応出来なかったと思うから、 」
「 別に。……俺は頼まれただけだし 」
「 え? 」
「 普段は悪い人じゃないんだけどね、あの人達 」
酒が絡むと面倒になるんだよ、なんて小さく呟いた松村くんが、ふ、と笑みを零す。さっき見たのとは違う、自然な笑い方。
「 松村くん、て、笑顔浮かべるの、上手なんだね 」
「 …… 」
「 っあ、ごめん、!今のは失礼だった 」
「 いや、……ンなこと言われたの初めてだわ 」
人の事よく見てんのね、って向けられた微笑みは、愛想笑いじゃなくて。それになんだか、少しだけ安心感を覚えた。
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鳰(プロフ) - akikumaさん» 嬉しいコメント、有難うございます。大好きだなんて、恐縮です……。不器用な恋模様をダラダラと書いてしまっていますが、もう少しだけ引っ張ります。どうか最後まで楽しんで頂けますように😌 (4月25日 16時) (レス) id: 1722422845 (このIDを非表示/違反報告)
akikuma(プロフ) - 大好きな作品です!読んでてとても切なくなります🥺続き楽しみにしています! (4月23日 1時) (レス) @page50 id: 5677edd0e4 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - ごましおさん» 暖かいコメント、有難うございます。前にも読んで下さっていたんですね、また出会えて凄く嬉しいです。自分なりのペースにはなりますが、今回は最後まで書き切るつもりですので、お付き合い頂けましたら幸いです。 (1月30日 0時) (レス) id: 348ed03cac (このIDを非表示/違反報告)
ごましお(プロフ) - 前回書かれてたときからこの話が大好きだったので再掲してくださって本当に嬉しいです(T-T)これからも楽しみにしてます…! (1月24日 10時) (レス) @page22 id: 4d6203abd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳰 | 作成日時:2023年12月17日 15時