想 い 無 き

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『 アンタ今彼氏とどうなってんの？ 』
「 ……、ん？ 」
『 ん？じゃなくて、ほら 』






" 京本 "と。

電話越しに聞こえてきた名前。鼓膜を震わせる、なんだか懐かしさすら感じる、その響き。






「 ……あ、そっか。私 」






付き合ってたね、そういえば。

少し考えて、選んで出した言葉は、とても他人事みたいで。高校からの仲良しで、今は違う大学に通ってる由宇(ゆう)ちゃんが『 何言ってんの？ 』って呆れた声で呟いた。






『 え待って、Aと京本って同じ大学だよね？ 』
「 あぁ、うん 」
『 会わないの？ 』
「 会って…ないねぇ、学部違うし 」
『 はぁ？連絡は？ 』
「 えっと…… 」






話が長くなる予感がした。携帯から充電器を外したら、有線イヤホンを繋いで耳にはめる。緑色のトークアプリを開いて、スクロールして。彼の名前を探した。






「 最後に話したの、一ヶ月前になってる 」
『 はぁ！？ 』






由宇ちゃんが急に大きな声を上げるから、キーンって耳が痛くなる。






「 ……びっくりしたぁ 」
『 いや、此方の台詞だから 』






それ、本当に付き合ってるって言えるの？って由宇ちゃん。……そんなの、私にも分からないよ。






『 まぁアンタ達元々ベタベタするタイプじゃなかったけどさ 』
「 そうだね 」
『 別れるにせよ別れないにせよ、流石に一回京本と話した方が良いと思うよ？ 』
「 うん 」
『 このまま放っておいたら、自然消滅まっしぐらじゃん 』
「 ……由宇ちゃん 」
『 なに？ 』






自然消滅って、本当にあるんだね。

私がそう言うと、何呑気なこと言ってんの、って鋭く返された。






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