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「 サンドイッチが好きなの？ 」
「 、え？ 」
「 と言うよりは、卵？ 」
校舎内を一通り回り終わって最後に連れて来たのは、本当は侵入禁止の屋上。此処に入れる事、内緒だから。そう言って聞かせてから、腰を下ろして昼食に有り付く。
お気に入りのたまごサンドを食べている私に唐突な疑問を投げ掛けて来た彼は、顔色一つ変えずに激辛カレーパンを頬張っている。口を膨らませたまま、質問に答えない私を見て、小首を傾げた。世間的にはあざとい仕草なんだろうけど、松村北斗がやると嫌味が無い。
「 ……、何方かって言うと、卵の方 」
「 へぇ、そうなんだ 」
答えが分かったら途端に興味を無くしたらしく、視線が逸れた。食べ始めてから一度も言葉が交わされない空間に痺れを切らして、話を振ってきたのかと思った。どうやら広げる気は無いらしい。
松村北斗は、今まで出会って来たどのタイプの人間とも違う空気感とテンポ感をしている。何を考えているのかもよく分からない。感情が読み取れないタイプの人間は勿論居たけど、其奴等とはまた違っていて、何も考えていない様にも見えたりする。
一つ確かに分かるのは、彼は他人の視線が気にならないという事。教室での出来事もそうだが、これだけ私に見つめられているというのに、此方を一瞥する事すら無いのだ。
( 楽ではあるけど )
この程良く興味を持たれて無さそうな、でも必要な会話は出来る距離感。非常に楽だ。堂々と関わるのは避けたいが、関わりたくないとは思わない。
激辛カレーパンを食べ終えて持って来ていた弁当箱の蓋を開き、箸を手に取った松村北斗が不意に此方を向いて、ねぇ、と声を掛けて来た。唐突に彼の関心が向けられた事で、あれこれと巡らせていた思考が一時停止した。慌てて、何？と返事する。
「 何で嫌われてるの、貴女って 」
コミュニケーションの取り方が、下手なんだろうと思っていた。誰もが上手く話せる訳じゃない。そういうのはある種能力みたいな物で、使い方もその技術も人それぞれだから。
だけど、そうじゃない。その物差しは松村北斗には当て嵌らなかった。此奴は純粋に、自分の気になった事を気になったその瞬間に口にしているだけだ。重要なのは相手とのコミュニケーションや相手を知る事では無くて、自身の疑問を解消する事。だから其処には何の感情も読み取れないのだ。
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鳰(プロフ) - 紺さん» 紺さん、コメント有難うございます。お二人の優しさに甘えて、戻って来てしまいました。そんな風に言って頂けて本当に嬉しい限りです……これからもどうぞよろしくお願いします！ (2023年2月6日 22時) (
レス) id: 1fdd7a0117 (このIDを非表示/違反報告)
鳰(プロフ) - 朔さん» 朔さん、お久しぶりです。こんなに早く気付いて頂けるとは思っていませんでした……凄く嬉しいです、有難うございます！私なりにまた少しずつ書いて行けたらなと思いますので、よろしくお願いします。 (2023年2月6日 22時) (レス) id: 1fdd7a0117 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 鳰さんだ、、、また読めて嬉しいです🥲🥲🥲 (2023年2月6日 18時) (レス) id: 3f4dbcf23f (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最高です、おかえりなさい🕊 (2023年2月6日 18時) (レス) id: 566406f9cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳰 | 作成日時：2023年2月5日 16時
