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同族殺し・弐 ページ8

甲高い音がして不死川さんの刀が畳の上に落ちた。

冨岡さんは刀を抜いているから、きっと不死川さんの刀を弾いたのだろう。

「冨岡ァ、どういうつもりだァ」

「・・・Aは人間で、俺の恋人だ」

「ハッ、そうかよォ・・・」


冨岡さんの声を聞いて私は泣きそうになった。

___貴方はまだ、私のことを人間だと言ってくれるのですね。

でも、今泣いたら身体中の水分が無くなるまで涙か止まらなそうで、私はこらえた。


不死川さんが冨岡さんの方を向いたまま、私を指差す。

「そこに居る化け物がァ!テメェは人間だって言うのかよォ!」

空気が揺れたような気がした。

先程の傷はもう治っている。

ああ、やっぱり私は化け物なんだ・・・。


それでも、冨岡さんは毅然として頷いた。

「テメェ・・・冨岡・・・!」

『___待って下さい!』

その場の全員の視線が私に注がれた。

目の奥が、熱い。

今なら心臓の位置がはっきり分かる。

大丈夫、大丈夫だ。

私はもう、守られてばかりではいられないもの。

不死川さんの前で私はひざまずいた。

『私は不死川さんの言う通りに鬼です。
人間でもある、そんな中途半端な鬼なんです。
だからこの場で殺されても文句は言えませんし、むしろそれが正しいと思います。
貴方も、そう思うんでしょう?
不死川さんが信じられないなら、今ここで、私の頸を斬って下さい。
色条Aという生に後悔はありません』


そう言って、わたしはは目を閉じた。




そうだ、覚悟は決まった。


冨岡さんに生かしてもらったこの命、本当は最期まで冨岡さんと共に在りたかったけれど。


・・・もう、ここまでだ。


____冨岡さんは今、どんな顔をしているのかな。



「・・・わかったかな、色条Aという人間が」


その静かな雰囲気を破るように、お館様の声が聞こえた。


「君は生きていたいんだよね、A?・・・義勇と共に」

『・・・仰せの通りです』

「なら、君は生きていればいいんじゃないかな。
君はまだ、義勇と共に生きてゆける。
鬼殺隊という居場所で」


こらえていた涙が一気に溢れだした。

泣きたくなかった、泣きたくなかったけれど

この方の声を聞くと、どうしても溢れ出てしまう。


『・・・ありがとう、ございます。

ならば私は戦います、鬼殺隊という居場所で。

私のような悲しみを抱える人を、少しでも救えるように・・・!』



私は、そう誓った。

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棗子(プロフ) - ふぉとさん» 前作から読んでくださった方ですよね?!ありがとうございます(*´∀`*) (2019年9月16日 14時) (レス) id: 6ccb60d888 (このIDを非表示/違反報告)
棗子(プロフ) - みゃーみさん» ありがとうございます!こちらこそみゃーみさんの作品読んでます、大好きです! (2019年9月16日 14時) (レス) id: 6ccb60d888 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉと - これからも応援してます!!(*゚∀゚*) (2019年9月16日 11時) (レス) id: f531edd03e (このIDを非表示/違反報告)
みゃーみ(プロフ) - 棗子さんの作品はいつ何度読んでも泣けてしまします。大好きです。 (2019年9月15日 11時) (レス) id: 49c1853634 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:棗子 | 作成日時:2019年9月15日 8時

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