久々知くん、大好きです (ページ9)

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８話ページ9

それから久々知くんと私の距離は少しだけ縮んだ。

一言も話さなかった授業前、委員会中、１つ１つの何気ない時間でちょこっと会話を交わす程になっ

ていた。

ーーー火薬委員会ーーー

土井「あれ、…川田くーん！」

『はーい！』

火薬委員会の活動中、土井先生に呼ばれて点検の手を止める。

土井「火薬を作るための砂がなくなってしまったんだが、今から買いに行ってくれないか？」

『分かりました』

土井「山を抜けるから、一応兵助と行ってくれ、女の子１人じゃ危ないだろうし」

兵助「？」

『大丈夫ですよ、１人で行けます…久々知くんは後輩の指導があるから、そっちを優先して』

命令するなんて生意気だろうけど、迷惑はかけられない。ま、お願いだけどね。

『それじゃあ、行ってきます』

火薬砂を入れる小箱を持って火薬庫を出ると、誰かに引き寄せられた。

久々知「なんでも１人でしようとしないで…いっしょに行くよ」

『え、でも…』

あ、これ以上言わん方がいい。ブスッとしてる。

久々知「Aも少しは頼ることを覚えようよ」

ーーー山中ーーー

結局久々知くんと２人で山を抜けて火薬砂を買いに行くことに。

『はっ、くちゅん！』

山中はやっぱり冷え込む。

久々知「こうなると思って……はい」

『え？』

寒かった肩が一気に暖かくなる。

久々知くんは持ってきていたのか制服の上着を肩に掛けてくれた。

キョトンとする私を見て、

久々知「…ふっ…」

『っ！/////////』

初めて、笑ってくれた。