7話 ページ8
来た。
今、目の前には久々知くんがいる。来ないと思ってたのに、来てくれた。
でも、なかなか目を合わせてくれない。
伊作先輩は出て行っちゃうし。
『…久々知くん……あの時は、ありがとう、ございました』
気まずくて、つい敬語を使ってしまう。
久々知「……別に」
ブスッとしてるけど、ちゃんと話は聞いてくれるのね。
話すことがなくなって下を向いていると、ふと久々知くんが口を開いた。
久々知「…君はどうして、泣かないの?」
『……え?』
いきなりの質問にびっくりする。
久々知「火事の時には泣いていたけど…1年生の時からずっと泣いてなかったじゃないか」
『…だって、泣いたらダメだもの…昔母に言われたの…悲しい時は笑って耐えなさいって』
久々知「っえ?」
『だから、もう泣かないって、決めたの…何があっても、笑って我慢するって決めたの』
笑ってみせると、久々知くんに両肩を掴まれた。
めっちゃ真剣な顔。
久々知「僕、君のこと嫌いだけど、なんか放っておけない」
『え?』
それって、嫌いっていうの?
久々知「泣きたくなったら絶対に僕のところに来て!いいかい?」
『わ、分かった…』
久々知くんの圧に負けてつい了承してしまった。
久々知「とにかく…生きてて良かった」
そんなこと言わないでよ。
もっと好きになっちゃうじゃん。
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作者名:パーマ | 作成日時:2023年3月13日 14時