久々知くん、大好きです (ページ6)

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５話ページ6

暫くすると、実習中の五年生にのろしがあがった。のろしの方に行くと、木下先生が切羽詰まって仰

った。

木下「川田が潜入している赤松城が火事になった！ここにお前らが集まって川田がいないという事は火事に巻き込まれている可能性がある！！すぐに救出に向かってくれ！！」

久々知「ッ…」

僕は嫌な予感がした。それで、他の人よりも先に走り出すと、赤松城に向かった。

嫌いなはずなのに。なぜか、ほっとけない。

あの悲しい顔とあの笑顔は何か関係していると思った。

ーーーyousidーーー

『…ん…』

目がさめると、見覚えのある天井が見えた。おでこには布がおかれてる。

誰かいないかと思い首だけを動かしたけど、誰もいなかった。

『……カッコ良かったな……』

あの時の久々知くんの顔が頭から消えない。そして、泣き顔。

スッ

襖が静かに開くと、伊作先輩が入ってきた。

伊作「！！Aちゃん！？」

『！？い、伊作先輩！？どうしました？ていうか、ごめんなさい、私今日』

伊作「今日じゃないよ！！」

突然抱きしめられてびっくりしてしまう。今日じゃないって、どういう意味だろう？

伊作「Aちゃん、あの日からずーっと目を覚まさなかったんだ！」

『ず、ずーっとって、どれくらいですか？』

先輩は私から離れると、薬を調合しながら教えてくれた。

伊作「１週間だよ」

『い、１週間！？…そんなに…』

伊作「そうだよ、君が運ばれてきた時は驚いた、兵助が珍しく取り乱していたからね」

久々知くんが…。

『…伊作先輩…私、久々知くんに嫌われてるんです』

伊作「………えぇぇぇぇえ！？！！」

ありえない。というような眼差しで見られる。

『どこが嫌いなのかは分かんないですけど…』

伊作「Aちゃんは？…兵助のことどう思ってるの？」

伊作先輩の問いに、静かに応えた。

『…私は…大好きなんですけどね…苦笑』

伊作「……それは辛いね……」

空気が悪くなってしまった。私はとっさに笑顔で話した。

『あぁ！もう良いんですよ！慣れちゃいましたから！…あはは……は……あれ？』

でも、無理だった。