久々知くん、大好きです (ページ19)

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１８話ページ19

用心棒「観念しろ曲者！！」

『(数はザッと…１０人)』

一人でこの人数は少しキツイかもしれない。懐から苦無を取り出して構える。相手の武器は槍。

こういう事になるなら袋槍の使い手の潮江先輩に交わし方を習っておくんだった。

ガキン！！キン！！

金属と金属がぶつかり合う音が昼の空に響き渡った。

正面の敵と戦っていると必ず後ろからも来る。後ろの敵は肘付きで倒す。

正面の敵は、苦無で心臓を刺す。それを繰り返して５人は倒せた。後の５人は

ザクッ________

『…は？』

最初チクっとした腕。でも後から、とてつもない激痛が走った。

『っ！！…てメェ…！！』

腕を斬られた。切り傷からダラダラと出血する。

もう無理だと判断した私は、懐から煙玉を出して投げつけた。

用心棒がむせている隙に屋敷を出た。

『…危なかった…とりあえず、任務完了』

傷の止血と応急処置を終えると、ふと血だらけの苦無が目に入った。

苦無をどこにしまおうか迷っていると、ふと聴き慣れた声が聞こえた。

？「Aちゃん？」

『？あ、タカ丸さん』

咄嗟に血だらけの苦無を後ろに隠す。

タカ丸「偶然だねー！」

『そ、そうですね～、ところでタカ丸さんは何故ここに？』

タカ丸「実は今火薬委員会で買い出しに行ってるんだけど、一緒に来る？」

いや、この状況では流石に…。

？「タカ丸さーん！」

『？兵助！…どうしたの？』

兵助が私の手を見た瞬間、眉間にしわを寄せて目を大きく見開いた。

兵助「っ、タカ丸さんに近寄るな！！」

突然そう言って私からタカ丸さんを庇うように立ち塞がった。

しまった…この苦無、血だらけだった。タカ丸さんを暗殺しようとしていたと勘違いされた。

『ち、違うよ兵助！この血は！』

兵助「その血…誰かを殺した跡だろう？…まさか次はタカ丸さんを殺そうと『違う！！！！』」

まずいまずいまずい。

兵助「誰かに命令されたんだろ…君がそんな子だったなんて……信じた僕が馬鹿だったよ」

一度結ばれた友情と信頼。それはいとも簡単に崩れてしまう。

『兵助！お願い聞いて！』

兵助「聞きたくもない…僕のことはもう名前で呼ばないでくれ…この件は学園に報告させてもらう」

『、そんな…』

正義感の強い兵助は、本当に学園に伝える気満々だった。

私はきっと、退学だ。