2 ページ7
?「ねぇちゃん……」
土台から降りようと生徒に背を向けていたが
後ろから弱々しくねぇちゃんと聞こえた
その声は昔、本当の弟のように可愛がっていた大好きなきり丸の声に似ていた
そんなはずない…
きり丸の村は戦争で焼き払われて皆、タヒんだと聞いた…
ここにきり丸がいるはずがない…
ゆっくりと後ろを振り向く
『!!』
そこに立っていたのは目から大粒の涙を流しているきり丸だった
『き、
きり丸…?』
きり丸「うっ…うっ……
ねぇちゃん!!!」
ガバッ
きり丸は私に抱きついた
きり丸「お、俺!ずっと!ねぇちゃんに…ヒグッ
謝りたかった…!ぅっ…!!
俺のせいで…!ねぇちゃんは!!」
まるでダムが崩壊したように泣きわめくきり丸
その光景を見ている生徒や教師は唖然としていた
私はきり丸を力強く抱き締めた
『謝らなくていい…、
ずっと一人で生きてきたんだな…
ごめんな、頼りない姉で…』
きり丸「頼りなくない…!!
でも…ずっと一人で寂しかった…!!
もう俺から…俺の前からいなくならないで……!」
『あぁ、今度は絶対に一人にしない
絶対に守る、
約束する…』
落ち着いたもののまだ泣き止まないきり丸を抱っこして立ち上がった
『学園長先生、訳は後で話します。朝礼の続きを』
学園長「わかった」
私は少し離れたところにある木陰に座ってきり丸の背中を優しく撫でる
一年は組と思われる生徒がこちらを心配そうにチラチラと見ていた
『きり丸、そろそろ泣き止んでくれよ
皆、お前の事を心配してるぞ?』
きり丸「泣き止みたいけど…ヒグッ
止められない…うっ…!」
きり丸…
大きくなったな
顔も少しだけ大人びているなぁ…
きり丸「すー…すー…すー…」
『ありゃ、寝ちまったか』
泣きつかれたんだな
土井「A」
『土井先生』
いつの間にか近くに来ていた土井先生は眠っているきり丸の頭を撫でた
『土井先生、さっききり丸から聞きました
きり丸の面倒を見ていてくれたそうですね、
この子がこんなに逞しくなったのはきっと土井先生のお陰ですね』ニコッ
土井「(笑顔が眩しいっ!)」
木の影からは一年は組の生徒が顔を覗かせていた
土井「お前達恥ずかしがっていないで挨拶しなさい」
土井先生の言葉で一斉に木の影から出てきて私の前に並んだ
29人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:睡眠煎餅 | 作成日時:2020年11月27日 22時