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小松田君の涙と時友四郎兵衛 ページ18

秀作「あ!おかえり〜」
『ただいま、じゃなくて大丈夫か?』

秀作の腕を掴み、たたせる
秀作はいててと呟きながら散らばったプリントを見つめた

秀作「大丈夫大丈夫、いつものことだから」
『いつものこと?』

プリントを集めながら聞く

秀作「自分で言うのもあれだけど僕、へっぽこ事務員なんだよね」
『へっぽこ?』
秀作「うん

用具や廊下、屋根の修理をすると逆に壊したり
プリントを届けようとすると違う場所に届けたり、
お茶を運ぼうとすると吉野先生の頭にぶっかけたり」

秀作の話を聞いて苦笑いしかできなかった


どんだけドジなんだ


秀作「何をやっても失敗ばかりだから吉野先生にいつも怒られてばかりなんだ

だから皆からはへっぽこ事務員って言われてる」

秀作は笑いだす
だが、少しだけ悲しそうな表情をしていた

『私はへっぽこ事務員だとは思わん』
秀作「へ?」
『だって、どんなに失敗してもどんなに怒られても皆からへっぽこ事務員って言われても
秀作は諦めずに任された仕事を一生懸命しようとしてるじゃないか』

私は秀作を抱き締めながらよしよしと頭を撫でた

『秀作はめげずにここまで立派に事務員の仕事をしてきた

それだけで十分凄いことだよ』
秀作「う……

ヒグッ……うわぁーーーん!!」

秀作はいままでたまっていた気持ちが溢れ出すかのように泣く

『ヨシヨシ、大丈夫大丈夫
今日からは私がいる、一緒に頑張ろうな
辛くなったらまた私に相談すればいい
泣きたいときは胸を貸す


だから今は、いままでの気持ちを全部出す勢いで泣きなさい』

秀作は私の腕の中で火がついたように大声で泣く









秀作「すぅー…すぅー…すぅー…」

静かになったと思えばすやすやと安心したように眠っていた

『16歳といってもまだまだ子供だな』ニコッ

このまま寝かせるのも可哀想だと思い、秀作を背負って部屋に連れていく


前言撤回
16歳といってもやはり男の子

『(おもぉっ!?)』

よろよろとよろめきながら秀作の部屋に向かった
顔を上げて視線を前に向ける

ん?
あの青い制服は、
2年生か?

前の方を歩いている生徒に声をかけた

『おーい、そこの青い制服の君!』
?「ん?

あなたは…」

振り返った少年は私の名前を思い出そうとしていた

『月影Aだ』
?「すみません、名前覚えていなくて」
『気にするな』
四郎兵衛「僕は2年は組の時友四郎兵衛です
よろしくお願いします。月影さん」
『Aでいい、さんもいらない
よろしくな』

2→←(名前)の妖艶な笑みにご用心



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作者名:睡眠煎餅 | 作成日時:2020年11月27日 22時

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