【男主】もう一人の六年生は任務中 玖【忍たま】

大運動会「六年生の屁理屈」二段 ページ7

side 鉢屋三郎

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鉢屋「もう始まってますよ。そんなにダラダラしてていいんですか？」


『ちょっと考え事だ。』



















開始の合図が放たれても

A先輩は動かない。



聞けば考え事だと言う…





制限時間は三分だぞ？

どこから来るんだ、その余裕は…






横目に周囲を確認すると、

い組は立花仙蔵先輩か？

ろ組は中在家長次先輩だ。

は組は食満留三郎先輩…




どうやら、

決着がついていないのは

俺達だけみたいだ…



















鉢屋「あの……そろそろ制限時間の三分になると思うんですけど…」


『うーん………よし！ 始めよう！』


尾浜「いや、もう始まってる(((」



















急におかしな事を言い出したA先輩は

ゆっくりと俺の方へ近付いてくる。







俺がその場で構えると

先輩の顔が息のかかるくらい近くまで来て……



















グイッ！









鉢屋「うわっ！？ ちょっと！ 何するんですか！」


『はい、俺の勝ち』


鉢屋「なっ！？ ずるい！」


尾浜「A先輩、それは流石にナシですよ…」



















一瞬だった。






視界いっぱいにA先輩の顔…



固まってしまった俺の右肩を強く引く。


バランスを崩して地面に突っ伏せば、

手首に巻いていた帯は先輩の手の中にあった。



















彦四郎「ハメ技ですね…」


庄左ヱ門「尾浜先輩、どうしましょ？」


尾浜「困ったなぁ…」


『何がそんなに困るんだ？ 明らかに俺の勝ちだろ？ だって、俺は武器なんて使ってないんだから。』


庄左ヱ門「あ…」



















この競技のルール

それは「武器は使用してはいけない」



それだけだ。



















仙蔵「私はAの勝利に文句は無い。少なくともルールには従っているからな」


文次郎「仙蔵！ お前の煙玉はズルいだろ！」


長次「術を使ってはいけないとも言われていない」


小平太「確かに(((」


















言われて納得してしまった。

確かに武器以外のルールはつけていない…





ため息を漏らす俺と勘右衛門。



六年生ともなると

そこまで汲み取らないといけないのか…



勝った六年生を待機場所へ行くよう促して

俺達も審判席に戻る。







ハメ技で負けたのか？


いや、違う。








俺の敗因は

あの人の「術」に掛かったことだ。


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