【男主】もう一人の六年生は任務中 玖【忍たま】

失う覚悟 四段 ページ29

side 潮江文次郎

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ドカーン！






文次郎「くっ！？ 何だ！？」


仙蔵「この音は………焙烙火矢か…？」


伝蔵「みんなAを囲むんだ！」














Aの振り絞る声。



発した言葉の意味は解らなかったが、

それと同時に近くの茂みがぶっ飛んだ。




山田先生の指示で

俺達はAに背を向ける形で囲む。














諸泉「何でそうなるんだ！」


乱太郎「だって尊奈門さんが焙烙火矢に火をつけろって言うから…」


諸泉「気を付けろと言ったんだ！」


伏木蔵「まあ、こんな時もありますよ」


伊作「たまにはいいんじゃないかな…あはは」


留三郎「伊作、これは不運じゃないぞ…」


与四郎「ゲホっ！ ゲホっ！ しっかし、随分火薬を詰めてるんだな…」












立ち込める砂埃から姿を現したのは、

まさかの先陣組。




会話の内容からして、

乱太郎が焙烙火矢に火をつけたのが原因か…

見たところ皆に怪我はないようだ(((






先陣組がヘトヘトになる中、

タソガレドキの組頭が俺達と敵の間に割って入る。












？「…タソガレドキ……やはりまた会うことになったか」


雑渡「どーも、黒脛巾組 安部さん。うちの者が随分な世話を受けたようなので、お返しをと思ってね。」


安部「事情が変わった。Aは返してもらう。 それに、俺はあんたの部下に手を出したりしていない。」


雑渡「おや、何の勘違いかな。私が言った「うちの者」というのは、Aくんの事なだが？」


安部「…っ……なんだと」














淀んだ空間に若干の主張を示す殺気。



タソガレドキ城 忍び組頭…

改めてその存在に圧倒される。










『…はぁ………はぁ……っ…文次郎……』


文次郎「ん？ どうした？」










呼ばれて振り返ると、

そこにAは居なかった。




いや、居ないんじゃない。

見えなかっただけだ…













土井「A！」


伝蔵「いかん…！ 身体が冷たい…」


仙蔵「伊作！ 乱太郎！ 伏木蔵！ 動けるか！？」


伊作「ああ、僕たちは大丈夫！ Aは任せて」


長次「頼んだ。私たちはこっちを片付ける。」


















Aはその場に静かに倒れ込んでいた。



どうやら意識が無いようだ。

俺の名前を呼んだのは、何だったんだ…






Aの声が耳に残る。











なぁ、A…

お前は死んだりしないだろ…？



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