【男主】もう一人の六年生は任務中 拾【忍たま】

知っていた。四段 ページ44

side A

_________________________________________










……………イラッ…












自分の表情が固くなるのがわかった。

脳裏にある人物が湧いてくる。











鉢屋三郎






俺の嘘を見抜ける奴が

増えるのは不愉快だ。












いや、待てよ。

俺はいつ嘘をついた？




何も間違ってない。

全部本当の事だ。




逆に嘘をつくなど、

今更ではないか？



















雑渡「君は嘘を言う時、どうしても右眼が若干閉じるよね。治した方がいいよ」


『……………癖ってなかなか直せないんですよねー。嘘を付いてなくても、時々閉じる感覚があるんです。』



















今度は両目を瞑って

そんな台詞を吐いてみる。






最初から閉じてしまえばいい。

それがヤケクソの結論だった。



















雑渡「おや、伝わらなかったかな？」


『いや、聞こえてましたけど』


雑渡「私は癖を " 直せ " と言ったのではない。右眼を " 治せ " と言ったんだ。」



















いったい何の話か。

理解するまで時間が掛かった。

















.



















.



















_____ 痛い _____








時間を掛けて、

幼かったあの頃を

俺はそれすらも思い出す。





大人たちの祀り事。






そうだ。



痛かったんだ。

だから泣いてたんだ。




そんな時もあったよな…



















でもそれが何だ？




今更過ぎてしまった事に

何を想えばいい？




治せるものならそうしたいよ。



















『それを口にするだけ簡単だね。それに関してはどれだけ努力したって何も変わらないさ。』


雑渡「何故そう言い切れる？」



















いつだってそうだ。


自分の身体は自分が一番よく知っている。






今の自分がどんな状態なのか。



















『治らないと解ってるからだ。』










______________

知っていた。五段→←知っていた。三段

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す