メリークリスマス【nino】 (ページ10)

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＿＿だから諦めたのに
言葉なんて言われなくたって
もういいやって思ったのに。
うちの悪魔はただの悪魔じゃなくて
時折頭に”甘い”ってつくんだ。

「ねぇAちゃん」

「うん？」

「ねぇ」

顔を上げずに返事したけど、もう一度呼ばれてのそりと顔を上げる。
さっきの笑顔と変わらずにこりとしてる和也。
なんかもぞもぞしてるから寄りかかるのをやめて起き上がったら。
その視界に和也の両手があって。
さっきまで私の背中に回っていた手の中にはビロードの箱。
その箱を持ってる左手の薬指に見慣れない指輪。

「～～～～っ！」

もう胸がいっぱいすぎて言葉なんてでてこない。
和也の顔も見れない。
もう視線外したら、さらに込み上げてくる気持ちと一緒に溢れ出そうになる涙を抑えることできなくなる。
なのに、

「A」

心に通るような声で、甘い声で、私を呼ぶ。
だから反射的に和也の顔見ちゃって。

「うっ……っ＿＿＿＿和也…っ」

また堪えられずにポロリと零れた涙と一緒に漏れそうになった嗚咽ごと食べちゃうみたいに口付けられた。