メリークリスマス【nino】 (ページ9)

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「……ねぇ、サンタさん」

「ん？」

「プレゼントくださいな」

おねだりするなんてちょっと恥ずかしい。
だからまだ顔を伏せて、胸にぐっと顔を押し付ける。

「……俺今さっきものすっごい一生に一度のプレゼントしたはずなんですけど」

「そうだけど……ちゃんと言ってほしいんだもん」

ものすごいプレゼントだった。
わかってる。
だけど女の子はちゃんと言ってほしいんだよ。
これは特別なんだよ。
特別だけど特別なことなんて言わなくていい。
うまいセリフなんていらない。
一番シンプルでいいから。
だから。

「ん、わかった」

「ほんと！？」

自分でお願いしといてなんだけど、絶対承諾しないと思ってた。
なのにすんなりと「是」の答えにがばりと顔をあげた。
きっと歓喜に満ちた顔してたはず。
その顔を見た和也が、にこりと微笑む。

「うん。絶対泣かないならね」

「…………」

悪魔の笑顔。
そう簡単にいくわけなかった。
泣かないなんてそんなの・・・無理に決まってんじゃん！
今までの過程見て来たらわかんじゃん！
わかってて言ってるひどい！

「……泣いたらどうなるの？」

またにこりと悪魔が微笑む。

「泣く前提なら言わない」

「…………」

これは絶対に言わない。
ほんとひどい。
いや、言わせようとしてる私が悪いのか。
こんな日ぐらいちゃんとしてくれたっていいのに。
甘やかしてくれたっていいのに。
これ以上粘ってもきっと勝てない。
脱力するように、もう一度和也の胸へ頭を預ける。
いいもん。
いいんだもん。
これからずっと一緒に居られる。
付き合ってる間、不安ではなかったけど。
でもこの漠然としてた関係をちゃんと形にしてくれただけで。
もうそれだけで嬉しいから。
本当に和也と夫婦になれるなんて思ってなかったら。
だからこれからもこの胸の中にいることができるってだけで。