ウィンター・マジック (ページ47)

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｢…ごめん｣

『…』

車の中で気まづい空気が流れていると

“コンコン”

車の窓をノックする音がして振り向くとお母さんだった。

どうやら買い物帰りの様子。

翔｢あ、お母さん。こんばんは。｣

母｢こんばんは。もうAったらまた翔くんに送ってもらったの？｣

『えっ、まあ…』

翔｢違うんです、僕が勝手に迎えに行っただけで。｣

母｢あら、ほんと？でもわざわざありがとうね。｣

翔｢いえ、そんな。｣

母｢じゃあ帰るわよA｣

『うん…翔さんありがとう。』

翔さんと目を合わせると優しく微笑んで

翔｢いいえ、またいつでも呼んでね？｣

と、さっきのキスはすっかりなかったみたいに見えたのは気のせいだろうか。

そのあと家に帰ってからというもの

お風呂の中でも

食事中も

ベッドの中でも

ぼーーっとしていた。

いや、車の中での“事件”について考えていた。

今までなにもしてこなかった翔さんがいきなりキスなんてする？

もしかして私の妄想？

しかし、嫌というほどに唇の感触が残っている。

やっと子ども扱いをやめてくれたのかな。

由紀さんが結婚したことを知ったからかな。

嬉しいはずなのに、なんだろうこの気持ち。