ウィンター・マジック (ページ5)

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05ダメだ... ページ5

駅から学校へ歩いていても

授業中でも

お弁当を食べていても

なにをしていても頭の中は先輩のことばかり考えてしまう。

二宮先輩はイケメンで優しい、いわゆる学校の“王子様”で朝から女子たちが泣きまくっていた。

たぶんみんなは助からないんじゃないかと思ってるんだろう。

私だって泣きたくなったけど、あんなに元気な幽霊に会ったら...死ぬなんて思えなくて。

そういえば“大野病院”ってクラスメイトの大野くんのお父さんの病院だったっけ？

ちらっと大野くんの方を見るとスケッチブックになにやら真剣に描いている。
さすが美術部。しかもなかなかの腕前らしい。

いつもなにかを描いているか、寝ているかだからあんまり話したことがない。

きっと先輩が幽体離脱しているなんて言っても信じてくれないだろうな...

｢...｣

｢A！｣

『うわっ！もう、びっくりした～』

親友の涼香が私を呼んだ。

｢びっくりした～じゃないでしょ！今日のAなんかおかしいよ？｣

『そ、そうかな？』

｢二宮先輩のことでしょ。｣

ギクッ

どうやら涼香にはバレてるらしい。

『...うん。』

｢まあショックだよね。小さい男の子を守るために犠牲になったなんてさ...｣

それは知らなかった。

なにこのマンガみたいな展開。

＿そんなかっこよかったっけ？

『きっと大丈夫だよね！きっと...』

｢うん...｣

あぁ、早く会いに行きたいな。(幽霊だけど)