87話 ページ38
-阿部side-
漸く、念願叶って迎えたデビュー日。
分刻みのスケジュールで多忙を極める今日の最後の仕事が終わって、楽屋に戻るその道中。
佐｢うわぁぁ、デビュー日が終わっちまうよぉぉ！｣
向｢あと3時間半やぁぁ！｣
岩｢いや、マジ元気だな。｣
渡｢でも、何か出てるわ。この時間いつもなら死にかけてんのに、全然眠くねぇ。｣
宮｢何かってアドレナリンでしょ？｣
ラ｢さて問題です、そのアドレナリンって何でしょう！回答者は目黒くん！｣
目｢えぇー…あ、男性ホルモン？｣
ラ｢それはテストステロンね？自分で歌ってるじゃん！｣
一日仕事だったのに、疲れを感じさせない7人。
…をよそに、一切口を開かない俺の片割れは、ふらふらと覚束無い足取りで隣を歩く。
とうの昔に最後尾になっていた俺達は、楽しそうに話しながら歩くメンバー達に気付かれる事なく、あっという間に置いていかれた。
遠ざかる背中と話し声。
少し寂しいけど、こんな状態の辰哉を置いていく訳にもいかない。
阿｢辰哉、もう俺しか居ないよ。ほら、少し座ろう。｣
深｢ｯ…はぁ…はぁっ……｣
誰も居ない廊下。
自販機の前にベンチを見つけて白い手を引くと、全身から力が抜ける様にｽﾄﾝと座り込む。
ここは人があまり通らないから、少し休むのにはいいかなって。
2人きりになったお陰で気を張る必要が無くなったからか、辰哉は背凭れに全体重を掛けて、浅い呼吸の狭間に溜め息を一つ。
血圧が低すぎるのか目をｼﾊﾟｼﾊﾟさせるから、少しでも落ち着ける様に目の前の自販機でミネラルウォーターを買って、キャップを開けた上で手渡すけど…
震える掌で受け取ったかと思えば、少しだけ飲んで直ぐにキャップを閉めた。
多分、噎せちゃうのが怖いんだろうね。
今の辰哉にとって、誤嚥は命取りだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (12月18日 1時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
まや - このお話見ていてとても胸がキュッとなってすごくいい作品だと思いました、！！続きがとても気になるので、ゆっくりでも更新待ってます、！！ (2023年4月6日 2時) (レス) @page41 id: 3b11924b07 (このIDを非表示/違反報告)
餡子(プロフ) - とても面白いです！続きが気になります！これからも無理せず頑張ってください！ (2022年8月9日 21時) (レス) @page41 id: e06a8e0f67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和音
| 作成日時：2022年4月23日 19時
