84話 ページ35
-深澤side-
誤魔化して。
避けて。
どうにか逃れて。
そんな事をしてる内にも、進み続ける時計の針は止まらない。
今日も俺は本当の弱い己を隠して、SnowManの深澤辰哉として生きている。
『どうも、SnowManでーす！』
深｢今日は不二家さんの全面協力企画です！｣
秋も深まるこの日、事務所の一角でYouTubeの撮影。
もう直ぐに迫る聖なる夜を前に、クリスマスケーキのプレゼンバトル。
進行をしながらメンバーのボケを拾って突っ込んで、たまに自分がボケたら佐久間のお手製ハリセンで突っ込まれて。
おふざけが暴走しそうになったら舵を切ってブレーキ掛けて、バランスを見つつ黙ってるメンバーにも話を振って笑いに変える。
皆と一緒だったからか、いつもの食事よりは沢山食べられたけど、多分これ以降は翌朝まで何も入らなくなるんだろうなぁ…
なんて、MC特権で中途半端に手を付けた自分の欲張りクオーター(ラウ命名)を、撮影中に食べれなかった奴らにあげた。
岩｢確かにさっきは生き地獄だったけど、マジでいいの？｣
深｢いーの。食べな。…あ、でもファンの子らとスタッフさん達には内緒な？ふふ、一応勝負だから。｣
宮｢ありがとう、ふっか。｣
阿｢ちょっ、俺せっかく勝ったのにー。｣
目｢良いじゃん、阿部ちゃん。俺なんか誰一人として投票してくんなかったんだよ？｣
ラ｢でもカメラ止まった瞬間、自分のやつ食べてたじゃん。全部。｣
向｢いや、ラウもやん。｣
渡｢まーまー、喧嘩すんなよ。｣
深｢翔太、仲裁してるとこ悪いけど、口にクリームついてる。｣
渡｢うっそ、どこっ？｣
佐｢にゃははっ！翔太5歳児じゃん！｣
この雰囲気を壊したくない。
8人にはずっと笑っていて欲しい。
そうして取り繕った表面上は、頼りになる最年長。
でも本当は、ボロボロな身体を引き摺って歩く、不安で一杯な一人の人間。
いつ仕事が出来なくなるか。
いつ倒れるか。
そんな心を覆う程の心配事に、全部曝けてしまいたいという本心に、きっと亮平は気付いてたと思う。
けど、どうしても踏ん切りがつかなくて自分の体について話せずに、ふわふわとした状態のまま季節は巡る。
初めてのレコーディングが終わり、初めてのMV撮影が終わった。
そして、遂に。
いよいよ、その日を迎えてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (12月18日 1時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
まや - このお話見ていてとても胸がキュッとなってすごくいい作品だと思いました、！！続きがとても気になるので、ゆっくりでも更新待ってます、！！ (2023年4月6日 2時) (レス) @page41 id: 3b11924b07 (このIDを非表示/違反報告)
餡子(プロフ) - とても面白いです！続きが気になります！これからも無理せず頑張ってください！ (2022年8月9日 21時) (レス) @page41 id: e06a8e0f67 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和音
| 作成日時：2022年4月23日 19時
