story＊041 ページ43
横｢藤井、昨日の”アレ”もう一度貸せ。｣
藤｢アレ…と、いいますと…？｣
横｢王女に届いた手紙や！あのラブレター！｣
藤｢あっ、はい王様。｣
何かよう分からんけど、王様のお言葉を聞いて流星は燕尾服の内ポケットから真っ白の封筒を取り出して…
4つ折りになった中の手紙だけを、王様に差し出した。
横｢これは昨日、王女の部屋に届いた物や。…王女に求婚する内容が書いてある。｣
中｢えっ、求婚…ですかっ？｣
横｢あぁ。…それで中間、桐山、ここを見てくれ。差出人の名前や。｣
少々距離があったから一歩だけ前に踏み出して…
王様が指した場所…手紙の最後の差出人の名前を見たら、思わず驚いて目を見開いた。
中｢っ…Jun Ninomiya…？…まさかコレって…EASTの皇室の二宮ですかっ…！？｣
横｢おん。二宮潤…皇帝の弟で、今年28歳になる。その皇子が21も離れた俺の娘…陽葵を嫁に欲しいなんて、可笑しいと思ったんや。
…皇帝が能力覚醒薬を盗ませ、側近に投与させたなら…更なる力を求める筈。｣
桐｢まさか…その手紙の本当の意味って…｣
中｢王女様と自分の弟を婚姻させてEASTに置き、王女様の血液…つまり能力覚醒薬を使って能力者を生み出し、国を強くしようという…皇帝の陰謀。｣
自分の口から言葉に出したのに、腹の底から込み上げてくる皇帝への…EAST帝国への嫌悪。
王女様は…強い人間を作り出す為の道具じゃない。
まだ幼い少女の未来を奪う権利なんて、ある訳が無い。
中｢ｯ…｣
そう思ってるのは此処に居る全員が同じで、一気に静まり返った部屋の中。
…誰も話し始めへんまま15秒程間が空いてから、王様の…怒りに震えた低い声が静寂を破った。
横｢…あの子は俺の娘や。俺のたった一人の家族や。そして、いずれこの国の女王になる世子。
…絶対に、EASTなんかには渡さへん。
俺が…この手で陽葵を守る。｣
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作者名：和音
| 作成日時：2019年6月28日 8時
