小さなセカイの中で。-change the world-【jw×ars】 (ページ38)

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story＊036 ページ38

中｢はぁっ、はぁっ…照史ーっ？…(ｶﾞﾝｯ!)…ｯ！？｣

照史の名前を呼びながら、船まであと少しの距離に来た時…

何か硬い物同士が激しくぶつかり合うような音が暗闇の中から聞こえて、目を凝らしてその場所へ向かおうとすると…

次の瞬間…船の明かりが顔面血塗れの照史と、それに襲いかかる軍服姿の2人を照らした。

中｢ｯ…照史っ！！｣

桐｢ｯ淳太くんっ…此奴らｯ…能力者っ……(ｶﾞﾝｯ!)…ｯくっ…｣

中｢分かってる！今助けるからっ！…ｯ、｣

(ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ!)

邪魔な眼鏡を強引に毟り取り、大野と相葉に向かって能力を発動させて…

熱を持つ右目の感覚に唇を噛み締めながら、何か木の根の様な物から攻撃を受け続ける照史の隣に滑り込んだ。

相｢っ…放電能力？…中間所長、貴方も能力者だったんだ？｣

大｢…どーりで、その若さで能力研究所の所長に就任出来たわけだ。｣

中｢ｯ…照史を……いや、俺たちを…殺すつもりなんか……皇帝の命令で。｣

相｢そーだよ。”本当の事”を知ったんだから、生きては帰さない。…どうしても国に帰りたいなら、屍として帰してあげるよ。｣

…やっぱり、この国に来るのに考えが甘かった。

あの皇帝がペラペラと真実を話したのは、後で俺たちを始末するため…

つまり、俺たちがこの国に上陸したその時から、殺される事は決まってた。

…でも、それは…俺たちが【普通の人間】やったら、の話。

中｢残念やったな、二人共。その皇帝の命令は遂行できひんよ。｣

相｢はぁ？何でそんな事が言えるわけ？｣

中｢それは…俺たちが生きてWESTに帰るからやっ！

…俺に、もう二度と人を傷付ける為に使わへんと誓った能力を使わせた代償を払わせたる…ｯ！！｣(ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁｨｯ!!)

…久し振りの、この感覚。

…視界一杯に広がる稲光。

…頬を伝う生暖かい血液。

もう二度と、感じたくなんてなかった。

…でも、此奴らが俺たちを殺すと言うのなら、生きる為に…逃げる為に…能力を使うしかない。

中｢…照史、先に船に戻ってて。ここは俺一人で大丈夫やから。｣

桐｢えっ…でもっ…｣

中｢俺にはもう1つの力もある。…任せて。策ならあるから。｣

ｺﾝｯと照史の腕時計の盤を指してそう言うと…その先の言葉は必要無しに俺の言いたいことが分かったらしく、照史は乗降口に走って行った。