小さなセカイの中で。-change the world-【jw×ars】 (ページ37)

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story＊035 ページ37

＊中間side＊

中｢はぁっ…はぁっ……この辺ちゃうかったっけ…｣

走りまくって疲れ果ててﾍﾛｯﾍﾛになりつつ、船着き場の近くに着いた。

…と思う。

遠くの方に光が見えるから、あれがきっと乗る船や。

中｢良かった…間に合った……あっ、でも一応時間を…｣

時計を見ようとスマホを開けば、まだ10分近く余裕があって…

何や俺、やれば出来るやん。

なんて、ちょっとニヤけながらスマホをポケットに仕舞って、船の明かりが見える方へまた走り出した。

…いや、走り出そうとした。

中｢ん？電話？｣

今仕舞ったばっかのスマホがポケットの中で震えて、仕方なくまた取り出すと、画面に表示されたのは松野の名前。

めちゃめちゃ近距離やけど、急ぎの用やったらアレやと思って…緑の応答マークをタップした。

中｢もしもしー？どうしt…｣

松野｢所長様っ！！今どちらにいらっしゃいますかっ！？｣

中｢えっ？船着き場の入口辺りに居るけど…何かあったんか？｣

松野の声がデカ過ぎて耳がｷｰﾝってなったのは、まぁ置いといて…

何や慌ててるっぽいから、落ち着かせるようにしながらも聞いてみると…松野の口からとんでもない言葉が飛び出した。

松野｢桐山様がっ…！ｯ…桐山様が危険なんですっ！！｣

中｢ｯはぁっ！？何でや！…ってか、3人で一緒にいるはずやろっ！？｣

松野｢急に大野と相葉が襲ってきてっ…そのっ…2人は親衛隊の高官の制服を着ていてっ…

あっ、あの変な力…能力…？で、桐山様に襲いかかってっ……私は船に入っていろと言われて、逃げ込んだのですがっ……そのっ…えっと…所長様っ…｣

あのいつも冷静な松野が、こんなにテンパって今にも泣きそうな声で……これは…ただ事やない。

…しかも、松野の早口で聞き取りづらい言葉の中で、ハッキリと耳に届いた【能力】というワード。

…急がなっ……手遅れになる前にっ…

中｢ｯ…分かった。今すぐ向かう。…松野、お前は船から降りるな。分かったな。｣

松野｢っはい…分かりましたっ…｣

中｢ほな、｣

電話を切ってスマホを握り締めたまま、俺は船へと全力疾走した。

…40分も走った後やのに、照史を助けなあかんと思ったら不思議と力が湧いて、いつもよりもまともに走れた気がした。

中｢っ……照史ｯ…｣