小さなセカイの中で。-change the world-【jw×ars】 (ページ36)

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story＊034 ページ36

酷く動揺した様子の松野くんを船へと逃がして…俺は、目の前の敵と向き合った。

…この、得体の知れない【能力】と。

桐｢(ｶﾞﾝｯ!)…ｯくっ……何なんやｯ…この能力ｯ…！｣

名前知らんから緑の男ってしとくけど、彼奴の力は今までの…どの能力とも違う。

…自在に伸ばす事の出来る左腕と、それに操られるように地面から生えてくる大量の木の根。

まさか此奴…植物を操れるとでも、言うんやろか。

桐｢っ…どうにか接近戦に持ち込まなっ…｣

俺は右半身がダイヤモンドで、どんな攻撃も右側で受けさえすれば無傷でいられる。

…でも、言うてしまえばそれだけや。相手に立ち向かうには、近付いて殴る他に無い。

桐｢ｯ…｣

緑の男の操る木の根と飛んで来る拳を避けつつ…決して目を逸らさんと睨み付けながら、静かに戦略を練ってると…

今まで何もして来んくてノーマークやった青の男が、俺に向かって何かを放って…何も反応出来ひんまま突っ立ってたら…

次の瞬間に、頬を鋭い刃物で切りつけられた様な酷い痛みに襲われて、ﾖﾛｯと一瞬体がふらついた。

桐｢ｯ…いﾞっ…！｣

大｢あれ、外しちゃった。…首狙ったのになぁ。｣

相｢ちょっとリーダー！急にやんないでよーっ！ビックリしたなぁ……それに、桐山は俺が始末するって”陛下からのご命令”でしょ？｣

桐｢っ、はぁ…？｣

緑の男が放った言葉が訳分からんくて、凄い勢いで出血してｽﾞｷｽﾞｷと痛む頬を押さえながら顔を上げたら…

いつの間にか目の前に居った2人が、ﾆｺｯと不審な笑みを見せた。

相｢始末、しに来たんだよ？俺達。…何、気付いてなかったのー？｣

大｢EAST帝国の親衛隊…しかも隊長と副長が、WEST王国で国家機密の重要物を盗んだ。それが皇帝の指示だった。…なんて事実、隠すに決まってるじゃん。

…君たちを、国に帰れなくしてね。｣

桐｢ｯ…なんて奴らや…っ…｣

血塗れの頬から手を離し…これまた血塗れの左手で、腰元のベルトについたホルダーから警棒を引き抜いて、思いっきり振り出した。

桐｢それならっ…お前らをここで倒して、WESTに帰ったるわ。

…能力者になって日の浅いお前らに、この俺がっ…負ける訳ないやろがぁぁぁっ！！｣

WESTに帰らなあかん。

俺には、大勢の部下が…団員達がおんねん。

こんな所で死ぬ訳にはいかん。

…その一心で、警棒とダイヤモンドの右腕を構えて目の前の2人に襲いかかった。