story＊029 ページ31
中｢えっ、あっ…｣
櫻｢お待ちしておりました中間様、桐山様。どうぞお入り下さい。
…あ、部下のお二人はこちらでお待ちに。｣
浜｢えっ、なんっ…｣
桐｢分かりました。浜中、松野くん…ごめんけどちょっと待っとって。｣
きっと皇帝陛下のご命令なんやろう。
それなら、逆らう訳にはいかへんから。
…この人は多分、皇帝の執事や。
所作が何処と無く流星やしげ達に似てる。
桐｢…淳太くん、｣
中｢…あぁ、行こう。｣
松野と文ちゃんをこの場に待たせて…
俺と照史は執事さんが開けてくれた3mはある巨大な黄金の観音扉を抜け、薄暗い部屋の中へと入った。
櫻｢こちらです。
…陛下、お客様がお見えになりました。｣
中｢…えっ、窓の外が…夜に…？さっきまで昼やったのに…｣
？｢ここは、いつだって夜だよ。太陽が顔を見せることは無いし、青い空だって見えない。
でも、それでいいの。それがいいの。…だってここは…僕の部屋だからさ。｣
中｢っ…！｣
窓に見えたｽｸﾘｰﾝに映る紛い物の満月が照らす、綺麗な横顔。
色白で、美しくて、どこか幼さも残したそれがゆっくりとこちらを向いて、ふっと微笑んだ。
…それを見たら無意識に背筋が伸び、一気に緊張で表情筋が使い物にならんくなった。
中｢こ、皇帝陛下にご挨拶致しますっ…中間淳太と申します…｣
桐｢桐山照史ですっ…｣
…目の前に居るのは、正真正銘”あの”二宮和也。
こんな虫も殺せへんような顔をして、戦争を幾度も繰り返し、人々を殺め、帝国の領土を広げる悪の天才。
【非道】【血も涙もない】なんて言われる、EASTのドン。
中｢っ…｣
恐怖かそれとも別の何かか、噴き出した冷や汗が顎を伝う。
自分の速い鼓動を大きな振動で感じつつ、いつまでも無言のままじゃアカンと何か喋ろうとすると…
陛下が突然帝座から立ち上がられ、俺と照史の方へと近付いてきたかと思ったら…俺達の耳元に顔を寄せた。
二｢挨拶なんて要らない。ほら、僕に聞きたい事があるんでしょう？
…例えば……昨日WESTであった窃盗事件の事…とかさ。ふふっ。｣
中｢えっ…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和音
| 作成日時：2019年6月28日 8時
