小さなセカイの中で。-change the world-【jw×ars】 (ページ30)

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story＊028 ページ30

桐｢何や、松野くんも高所恐怖症？｣

松野｢ｯい、いえっ…へ、平気ですっ…｣

桐｢うん。全然平気に見えへん。｣

指が真っ白になるくらいの凄い力で手すりを掴んで…天井を見上げて小刻みに震えてるのに、自分に言い聞かせるが如く【大丈夫】と【平気】を繰り返す松野ｻﾝ。

…多分、俺より酷い高所恐怖症やぞ。

桐｢松野くんも淳太くんもひっどい顔やなぁ。｣

浜｢てかさ…そんな平気やって言うんやったら、下見てみたらええやん？ほれ、淳太も。｣

中｢…えっ、｣

高い所全っ然平気な文ちゃんの、唐突な無茶振り。

…というか、完全に松野の流れ弾をくらった俺。

平気やって言うなら下を見てみろって言われて、面白半分で手すりから手を離させられて…ｽｯｹｽｹのど真ん中に背中を押されるという苦行。

でも、俺が睨んだのは実行した文ちゃんではなく、松野の方。

…やって俺、平気とか大丈夫とか言うてへんし！寧ろ”死ぬーっ！！”って叫んでたしっ！

中｢松野のせいやぁぁぁっ！！｣

松野｢ごめんなさぁぁぁいっ！！｣

そんなこんなでﾔｲﾔｲやってたら…【ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ】って音がして、最上階の85階に到着。

地獄のような空間から、やっと出ることが出来ましたとさ。

中｢あー怖かった…よし、行こ。｣

桐｢切り替え早いなぁ。｣

中｢さっきの光景、脳内から抹消したいねん。それには切り替えが大事やろ。｣

桐｢…いや、帰りも乗るけど。｣

中｢あ、そーやん…｣

気分だだ下がりになりながら、人型ロボットの後ろを歩いて間接照明が照らす広い廊下を進んでいくと、段々と辺りが暗くなり始めて…

ある、1つの大きな扉の前に辿り着いた。

中｢…ここ？｣

桐｢ぽいな。…ロボットの画面もほら、”ご案内完了”って書いてるし。｣

松野｢入っていいのでしょうか…？｣

浜｢いや、勝手にあかんやろ。

…如何致しますか、団長様。ここで待ちますk…｣

(ｶﾞﾁｬｯ)

文ちゃんの言葉を遮るように扉が開く音がして、一斉に皆がそっちを向いた。

すると…そこには、ﾂﾒｴﾘのﾏｵｶﾗｰにﾌｧｽﾅｰが付いたような変わった格好をしたイケメンが立っとって…

その人は俺達を見るなり、自分の左手をお腹の辺りに当ててﾍﾟｺﾘと一礼した。

…優雅で、清潔で、美麗に。