小さなセカイの中で。-change the world-【jw×ars】 (ページ28)

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story＊026 ページ28

ｹﾞｰﾄを抜けた先のｱｸｲﾗ地区は、まるで別世界のようやった。

さっきまであったプレハブ小屋は一つも無くて…畑や田んぼの代わりに色々な店と沢山のアパートが並び立ってた。

住民達は皆、同じ真っ白なＹシャツを身に纏い…誰が誰かも分からなくなりそうなそれは、とてつもなく異様な光景や。

山｢いやぁ、このｳｫｰﾙとｳｫｰﾙの間のｱｸｲﾗやｱﾘｴｽは人口が多くて困りますね。｣

知｢歩きにくいというか、何というか。…まぁ、外に比べればマシですが。｣

松野｢えっ、あのっ…さっきの高い壁、まだあるんですかっ…？｣

山｢えぇ、勿論。

…下民と平民を仕切る物があるのですから、平民と上流階級の方々を仕切るものも必要でしょう。｣

この国は、まるで監獄や。

全てをお金と階級によって分けて。自由を奪われて。

…とはいえ、隣国民である部外者の俺には、この国を変えることなんて出来ひんけど。

知｢さぁ、この車に乗って下さい。…お城のあるｽﾋﾟｶ地区までは暫くかかりますので、どうぞお寛ぎ下さい。｣

中｢…はい。｣

桐｢…どーも。｣

WEST王国の王族専用車よりも大きなリムジンに乗り込んでも、”こんな物は買えるのに壁の外に病院を作ってやる事は出来ひんのか”なんて思ってもうて…

ここに来る前まで感じてた【怖い】って感情が、いつの間にか…怒りや呆れに切り替わってた。

…それは多分皆も同じで、だだっ広い車内はｼｰﾝと静まり返り、誰一人言葉を発することは無かった。

中｢っ…｣

手持ち無沙汰なんか皆が窓の外の流れる景色を見てる中…

俺は、大貴くんの為に必死にあのｳｫｰﾙに近い往診可能な病院を、相棒の端末を駆使して探した。

…この国の役人が無下にしたあの小さな命を、救いたいから。