story＊133 ページ38
取り敢えず宏太くんに促されるまま床に座って、ふと視線を感じたような気がして後ろを見ると、まだ玄関に立ったままやった慧くんとﾊﾞﾁｯと目が合った。
…中入らんのかなーって思うて声を掛けようとしたけど、慧くんは宏太くんに一言【トイレ行ってくる】って言うて、部屋を出てってもうた。
宏｢中に入る前に行けばよかったのに。｣
重｢なぁ、トイレって外にあるん？｣
宏｢あ、はい。共用トイレが近所に3つ。因みに、キッチンも外に共用のものがあります。…お風呂は行水ですけどね。｣
重｢ほぉ…成程。｣
この何も無い部屋の謎が解けて、3人がちゃんと暮らせてるって分かって一安心。
俺が誰目線で物を言うてるのか分からんけど、良かったわってﾎｯと一息吐いて、持ってたスポドリを一口飲んだら…
さっきからずっと何か探しもんしてた宏太くんが顔を上げて、水色の小箱を持ってくると俺の前に座り、それをｽｯと差し出した。
宏｢これです。中間さんへのお礼の品。…今、慧も大貴も居ないんですけど、3人からって事で…中間さんに宜しくお願いします。｣
重｢あぁ。WESTに帰ったら、ちゃんと淳太に届けとくわ！｣
淳太への配達任務を受け合って、宏太くんから小箱を受け取ると結構軽い。
ほんなら中身はお菓子かなぁ…なんて考えながら、スポドリが入ってる方と逆のポッケに仕舞って、大切な物やからちゃんとボタンまで閉めといた。
これで、ここに来た目的はコンプリートしたから、帰ろうと思ってんけど…1個気になる事があって、上げようとしてた腰を元に戻した。
重｢なぁ、宏太くん…慧くん遅ない？外のトイレってそんな遠いん？｣
宏｢いや、すぐそこですけど…もう時間も時間だし、自分の家に戻ったのかもしれません。｣
重｢へっ？自分の家？…慧くんって一人暮らしなんっ？｣
確かに、ここは宏太くんと大貴くんの家としか聞いてへんかったけど…
って首を傾げたら、ちょっと言いづらそうにしながらも、宏太くんが教えてくれた。
宏｢慧は幼い時からご両親と離れて暮らしてて、親を亡くした俺達と兄弟同然に育ったんです。ずっとこの村で。…慧の家はうちの隣でご近所だし、歳も俺と同じですし。
…あ、重岡さん、そろそろ帰られますよね？良かったら慧の所へ顔を出して下さいませんか？
普段忙しくて俺ら以外と話さないから、重岡さんにお会いして話す事が出来て、嬉しかったと思うので…｣
重｢ん、分かった。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和音(プロフ) - 祐莉さん» いつもコメントして頂き、ありがとうございます(^^)これから益々物語が展開していきますので、是非楽しみにして頂けたら嬉しいです！これからもこの作品を宜しくお願い致します(^^) (2020年2月14日 23時) (
レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
祐莉 - 楽しく読ませてもらってます！イースト帝国の闇は深いですね！ ウエスト王国もイーストに侵略されれば同じような状況になるのは、明白だから今後ウエスト側がどう動くか気になります！ (2020年2月13日 15時) (レス) id: ea9cf53e18 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると、とても励みになります！これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2020年1月9日 18時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新を楽しみにしております。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すごく面白いです。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和音
| 作成日時：2019年12月28日 17時
