story＊132 ページ37
深く深く頭を下げる2人を止めて顔を上げさせ、"ほな行こっ！" って市場の外を指差すと、逆方向やったみたいで笑われてもーた。
初めて見た2人の笑顔は、顔色こそ良くないけどｷﾗｷﾗしてて…こんな生きにくい帝国でも【幸せ】は僅かでもちゃんとあって、笑顔になれるんやって少し安堵した。
…でも、そんな時…あるものが視界に入ったんや。
重｢…ん？｣
宏｢よっしゃ、行きましょー！｣
慧｢っ…宏太、ﾊｧ…ｯ…声でかい…｣
元気に家の方へと歩いて行く宏太くんの後ろで、大きく肩で息をして少し様子の可笑しい慧くんが。
…今思えば、ずっと苦しそうにしてたんや。
何度も…何度も…咳を繰り返してたのに。
宏｢重岡さーん？行かないんですかー？｣
重｢あっ、ごめん！行く行くーっ！｣
…俺は気付かず、宏太くんの後を追った。
ここで気付いていれば、彼を苦しめる事はなかったのに。
少し感じた慧くんの違和感なんて気にも留めず、宏太くん達兄弟と慧くんが暮らすプレハブハウス村に行く為に、いつの間にか真っ暗になってた市場の外へ出た。
･
コンクリートで舗装されてへんｶﾞﾀｶﾞﾀな道を歩く事、約10分。
宏太くんの "ここです" っていう声に顔を上げると…そこにあったのは、車1台分の駐車場くらいのサイズの建物が沢山並んだ集落のような場所。
…宏太くんはその中の302号室の鍵をカードキーで開け、扉を手前側に引いた。
宏｢すみません、狭い部屋なんですけど…｣
重｢あぁ、全然大丈夫やで。お邪魔しまーす。｣
40cm四方程しかない玄関で、今日初めて履いた編み上げブーツを超苦戦しながらどうにか脱いで、部屋に上がったら…
この狭さもやけど、どこか異様な感じがして…思わず体がフリーズした。
重｢…え、｣
テレビが無いとか、窓が無いとか、そんな事の前に…キッチンが無い。トイレもお風呂もない。
…あるのは綺麗に畳まれた布団が2つと、小さなテーブルだけ。
一体どうやって暮らしてるのか…何にも分からへんその光景に驚いて呆然としてたら、後から中に入ってきた宏太くんにﾄﾝｯと肩を叩かれて我に返った。
宏｢ﾎﾞｰｯとしてましたけど…大丈夫ですか？｣
重｢あぁ、平気平気。ごめんな。｣
宏｢いえ…あ、どこでも好きな所座って下さいね。｣
重｢おん、ありがとう。｣
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和音(プロフ) - 祐莉さん» いつもコメントして頂き、ありがとうございます(^^)これから益々物語が展開していきますので、是非楽しみにして頂けたら嬉しいです！これからもこの作品を宜しくお願い致します(^^) (2020年2月14日 23時) (
レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
祐莉 - 楽しく読ませてもらってます！イースト帝国の闇は深いですね！ ウエスト王国もイーストに侵略されれば同じような状況になるのは、明白だから今後ウエスト側がどう動くか気になります！ (2020年2月13日 15時) (レス) id: ea9cf53e18 (このIDを非表示/違反報告)
和音(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると、とても励みになります！これからもこの作品をよろしくお願いします(^^) (2020年1月9日 18時) (レス) id: eff15bf988 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 更新を楽しみにしております。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - すごく面白いです。 (2020年1月9日 1時) (レス) id: c08660417e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和音
| 作成日時：2019年12月28日 17時
