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-福本side-
福｢っ…触らんとってっ……お願いっ…｣
大切なメンバーに向かって、そんな事を必死に訴える俺。
ごめん。
ごめんなさい。
俺やって、こんなんホンマは言いたないねん。
蹲ったまま動けへんくなって、早20分。
過呼吸起こしたばっかで横なりたいのに、寝っ転がった瞬間に床が剣山みたいに感じる。
ホンマに、自分でも訳が分からんの。
正｢大晴？ごめんやで、ちょっと隣座るなぁ…｣
福｢っ…いやや……ｯ…来ん…といて…っ…｣
正｢大丈夫、触らんよ。｣
必死に遠ざけた筈がまっさんだけは離れてかんかって、隣に体育座りして前に組まれたその手が怖い。
でも、低くて落ち着く男らしい声が傍で大丈夫って繰り返してくれたらな、何かホンマに大丈夫な気がしてきてん。
だから…だからな、話してみたよ。
酷い偏頭痛持ちになってもうた事と、体に謎の痛みが襲ってくるようになった事。
そしたら、一緒に病院行こうって言うてくれて…
脳とか神経とか不安やったけど、まっさんも一緒なんやって思ったら素直に"行く"って言葉を口に出来たんや。
正｢立てる？ゆっくりでええよ。｣
福｢っ…ん、いける…｣
覚束無い足取りで立ち上がる。
稽古の途中で抜けるなんて、しかも今回は主演やのに申し訳ない。
でも、早よ治さなもっと迷惑かかるって分かるから。
指導者さんやスタッフさんに謝罪して回って、メンバーにもさっき拒絶してごめんって言うてから、思っきし派手なオレンジのジャージのまんま稽古場を出て…
同じく青いジャージ姿のまっさんと一緒に、マネージャーさんの送迎車に乗り込んだ。
正｢着くまで寝とき？頭、痛いんやろ？｣
福｢…そうする……っ…まっさん、肩借りてもええ…？｣
正｢ふふ、好きなだけ使い。｣
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作者名：和音
| 作成日時：2023年11月18日 2時
