橙×アロディニア ページ45
-福本side-
福｢っ…また…｣
最近、体が可笑しいねん。
どっかにぶつけたり切ったりした訳でもなしに、手とか足がめっちゃ痛くなる。
それから、20年以上殆ど無縁やったのに急に頭痛に悩まされ始めて、病院に行ったら偏頭痛ですね〜って診断。
あんまり酷いもんやからトリプタン処方して貰ってるけど…
うん、正直副作用がキツくて、あんまり使いたないのが本音やね。
福｢手と足のこれも、頭痛と関係あるんかなぁ…｣
脳とか神経とか、心配しだしたらキリないって分かってる。
でも、あんまり長引くから流石に心配なってきた。
もう一回病院行こかなぁってボーッと考えてたら、目の前を紫と黄色のジャージが横切る。
あぁ、もうグレショーの稽古始まるみたいやから、この話はまた後でな。
福｢よっしゃ…頑張る。出来る。｣
絶好調…ではなくても、絶不調でもないからいける筈。
頭の右側から重たい痛みを感じつつ、自己暗示を掛けて木刀を握る。
始まれば俺はもう福本大晴じゃなくて、歴史に名を刻まれた最強の剣士。
余計な事考えるな。
集中しろ。
そう、自分に言い聞かせてたんやけどな。
激しい殺陣の稽古中。
いつもより間合いを詰めすぎた自覚はあって、慌てて相手方の刀から距離を取ったんよ。
だから、痛みなんて感じる筈なかったのに。
福｢…ぃﾞ…ｯ…！｣
｢大丈夫かっ…！？｣
勢い良く当たった訳とちゃう。
だって飛び退いたんやもん、掠っただけ。
音もせんかったし、感覚やって軽く触れた程度やったと思う。
…でも、でもな。
ピリピリとかビリビリとか、いつもとは比にならんレベルの痺れてるみたいな激痛が腕に走って…
生理的な涙を零しそうになりながら、訳も分からんといつの間にかしゃがみ込んでた。
これ何なん？
俺の体、どうしちゃったん？
そんな風にパニック状態の脳内。
あまりに過剰に痛んだこの腕が、ますます痛みを増すこの頭が、今はただひたすらに恐怖やった。
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作者名：和音
| 作成日時：2023年11月18日 2時
