Aぇ明日が来ますように。 (ページ42)

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-末澤side-

寒い、寒い。

辺り一面、真っ白な銀世界。

いつの間にか誰も居ぃひんくなって、メンバー5人はおろかスタッフさんカメラマンさん、ガイドさんまでおらん。

一人ぼっちの静寂。

正直、怖くてしゃーない。

どんどん強なる雪で視界が無くなるせいか方向感覚が狂って、どっちから来たかすら曖昧や。

末｢っはぁ…っ…もう……何でこうなんねんっ…｣

体力も気力も限界で、自分の体を抱き締めてしゃがみ込む。

どうやら、天気も俺の味方とちゃうみたい。

容赦なく全身に打ち付ける吹雪が体温を奪って、手袋をしてる筈の指先から徐々に感覚が消えていく。

相変わらずガタガタ震えが止まらへんし…

これ、もしかしてあかんヤツ…？

って考えてみるけど、頭がぼーっとしてまともに考え事すら出来ひん。

…ヤバい、何か眠なってきた。

末｢っ…｣

でも、厚く積もった雪ん中に座り込んで、ウトウトと船を漕ぎ始めた時やった。

まるで、その瞬間だけ風の音が切り取られたかのように、俺の名前を呼ぶ声がはっきりと聞こえたのは。

佐｢っ誠也くんっ！誠也くん聞こえますかっ！？｣

正｢寝たらダメですよ！誠也くん！｣

末｢…さ、の……ま、さかど…っ…｣

草｢末！しっかりしろ！意識飛ばすな！｣

末｢っ…りちゃ…｣

何で、戻ってきたん？

ロケは？

他の2人は？

なんて、聞きたい事は山程ある。

でも、今はとても正気になられへんくて、嫌な顔一つせんと背負ってくれたリチャの背中の上でされるがまま。

…あれ、人の背中ってこんなに温かかったっけ。

ウェア越しに感じるリチャの体温。

俺の意識を保とうと必死に話しかけながら腕を摩ってくれる正門と、感覚が無くなって宙ぶらりんの手を必死に握る佐野の掌の感触。

お陰で、冷え切ったままの体より、不安やった気持ちの方が先に溶かされた気がした。